ハイリスク症例に対する外科的気道確保術―リスク評価と輪状軟骨切開術の選択

医療技術の進歩とともに寿命が著しく延長した現在, 外科的気道確保術の適応となる症例は高齢者や長期管理を要する症例など多様化し, 従来の気管壁を通過する気管切開術では術中・術後の合併症が危惧されるハイリスク症例が増加している. 喉頭低位, 肥満・短頸などの頸部異常, 気管カニューレ長期留置による気管孔狭窄や気管損傷のハイリスク症例に対して, 意図的に輪状軟骨を鉗除する輪状軟骨切開術は合併症回避の新たな術式の選択肢となる. 輪状軟骨を鉗除して形成する切開孔は気道到達まで最短であり, 甲状腺の操作がなく緊急時の安全に寄与する. また喉頭低位, 肥満や甲状腺腫脹など頸部異常を有する症例では輪状軟骨の高...

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Veröffentlicht in:日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会会報 2021/09/20, Vol.124(9), pp.1242-1250
1. Verfasser: 鹿野, 真人
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:医療技術の進歩とともに寿命が著しく延長した現在, 外科的気道確保術の適応となる症例は高齢者や長期管理を要する症例など多様化し, 従来の気管壁を通過する気管切開術では術中・術後の合併症が危惧されるハイリスク症例が増加している. 喉頭低位, 肥満・短頸などの頸部異常, 気管カニューレ長期留置による気管孔狭窄や気管損傷のハイリスク症例に対して, 意図的に輪状軟骨を鉗除する輪状軟骨切開術は合併症回避の新たな術式の選択肢となる. 輪状軟骨を鉗除して形成する切開孔は気道到達まで最短であり, 甲状腺の操作がなく緊急時の安全に寄与する. また喉頭低位, 肥満や甲状腺腫脹など頸部異常を有する症例では輪状軟骨の高さは大きな利点である. さらに輪状軟骨の鉗除は気管カニューレとの接触をなくすことで気管孔の肉芽・瘢痕形成やカニューレ抜去された切開孔の狭窄を防ぐ. 輪状軟骨の高さと鉗除は重大な事故となる挿入困難や迷入の根本的な防止策につながる. 現在の医療環境に合わせた外科的気道確保術の安全には, 患者の状態や気管切開術後の長期管理でのリスクを術前に十分に評価し, より安全な術式を選択することがポイントとなる.
ISSN:2436-5793
2436-5866
DOI:10.3950/jibiinkotokeibu.124.9_1242