鼓膜形成術: Over-underlay 法とendoscopic inlay butterfly cartilage tympanoplasty

比較的新しい鼓膜形成術ではあるが, 本邦においては認知度が低い over-underlay 法と endoscopic inlay butterfly cartilage tympanoplasty について概説した. 鼓膜形成術は鼓膜の穿孔閉鎖を目的とする術式であり, 鼓膜の剥離操作が必要な術式と不要な術式の二つに大きく分類される. 鼓膜の剥離操作が必要な術式のうち overlay 法と underlay 法の利点を併せ持つ術式として over-underlay 法は2002年に Kartush らによって開発された. この over-underlay 法は側頭筋膜を主とする移植弁をツチ骨柄...

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Veröffentlicht in:日本耳鼻咽喉科学会会報 2021/05/20, Vol.124(5), pp.699-704
1. Verfasser: 田中, 康広
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:比較的新しい鼓膜形成術ではあるが, 本邦においては認知度が低い over-underlay 法と endoscopic inlay butterfly cartilage tympanoplasty について概説した. 鼓膜形成術は鼓膜の穿孔閉鎖を目的とする術式であり, 鼓膜の剥離操作が必要な術式と不要な術式の二つに大きく分類される. 鼓膜の剥離操作が必要な術式のうち overlay 法と underlay 法の利点を併せ持つ術式として over-underlay 法は2002年に Kartush らによって開発された. この over-underlay 法は側頭筋膜を主とする移植弁をツチ骨柄の外側 (over) および残存鼓膜と鼓膜輪前方の下 (under) へ挿入することにより移植弁の落ち込みを防止するため再穿孔率を減少させる術式である. 鼓膜の剥離操作が不要な術式として本邦では接着法が広く普及しており, 一般に移植弁には皮下結合組織が用いられる. それに対し欧米では移植弁をより安定させるため結合組織ではなく軟骨を用いて穿孔縁を挟み込む術式が1998年に Eavey らによって考案された. この術式は現在では inlay butterfly cartilage tympanoplasty と呼ばれ, 穿孔周囲の残存鼓膜を軟骨で挟み込み穿孔部に軟骨をはめ込むため術後の移植弁が極めて安定する. 近年, 国内外における内視鏡下耳科手術の急速な普及により endoscopic inlay butterfly cartilage tympanoplasty の報告が2016年以降より増加している. この術式の適応と手術方法の詳細について解説し, 良好な術後成績が得られることを本文中に示した. 今回紹介した新しい術式を習得し,症例に応じた手術オプションを持つことは, 内視鏡下手術が増加し, 術式が変化を遂げているこれからの時代には必要と考える.
ISSN:0030-6622
1883-0854
DOI:10.3950/jibiinkoka.124.699