アレルギー性鼻炎に対する舌下免疫療法の将来展望
依然としてアレルギー性鼻炎患者数の増加が国内外で指摘されている. 現在のところアレルゲン免疫療法が唯一アレルギー性鼻炎の自然経過を改善させ得る治療であり, 治療期間は長くてもその効果は治療終了後も長期の持続が期待できる可能性が欧米の比較試験で明らかになってきている. 例え治癒に至らなくとも多くの患者で使用薬剤を減らすことが可能であり, また, 治療に用いたアレルゲン以外のほかのアレルゲンに対する感作の抑制, アレルギー性鼻炎に対する治療効果のみでなく喘息の発症やその改善効果が見られる可能性も報告されている. 国内では2014年にスギ花粉エキス舌下液が発売となり, 2015年にダニアレルギー性鼻...
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Veröffentlicht in: | 日本耳鼻咽喉科学会会報 2019/11/20, Vol.122(11), pp.1381-1385 |
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1. Verfasser: | |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
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Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 依然としてアレルギー性鼻炎患者数の増加が国内外で指摘されている. 現在のところアレルゲン免疫療法が唯一アレルギー性鼻炎の自然経過を改善させ得る治療であり, 治療期間は長くてもその効果は治療終了後も長期の持続が期待できる可能性が欧米の比較試験で明らかになってきている. 例え治癒に至らなくとも多くの患者で使用薬剤を減らすことが可能であり, また, 治療に用いたアレルゲン以外のほかのアレルゲンに対する感作の抑制, アレルギー性鼻炎に対する治療効果のみでなく喘息の発症やその改善効果が見られる可能性も報告されている. 国内では2014年にスギ花粉エキス舌下液が発売となり, 2015年にダニアレルギー性鼻炎に対するダニ舌下錠も発売となっている. 一方, 課題も少なくない. 重篤な副作用は少ないとされるが, 言うまでもなく今後も症例の蓄積と解析が必要である. また, 本治療の最も大きな特徴とされる治療効果の持続については, 治療終了後長期の効果について可能性は示されているもののいわゆるエビデンスとしては明らかになっていない. 費用対効果も関連した重要な検討課題であり, さらにほかのアレルゲンに対する新規感作の予防, ならびに喘息などほかのアレルギー疾患の発症予防についても報告はあるものの, いわゆる比較試験での結果ではない. 舌下免疫療法にはこのほか, 効果を示すバイオマーカーや効果予測因子の解明も待たれており課題は多い. ただ, これまでの臨床試験, 一般臨床での報告から, 従来の薬物治療ではみられないような高い効果と患者満足度, 治療終了後の一定の持続効果が示されている. また, 効果の向上, 副作用の軽減を目指したさまざまな取り組みも進んでいる. 今後, アレルギー性鼻炎の詳細な病態の解明と共に舌下免疫療法の普及が期待される. |
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ISSN: | 0030-6622 1883-0854 |
DOI: | 10.3950/jibiinkoka.122.1381 |