高齢頭頸部がん患者の現状と治療 75歳以上の症例について

目的: 高齢頭頸部がん患者は暦年齢だけで画一的に治療方針を決定することは難しく, 個々の背景を踏まえた上で余命も考慮しながら治療法を決定する必要がある. 当科で経験した症例に臨床的検討を加え, 高齢頭頸部がん患者における治療方針決定の基本姿勢について検討した. 方法: 2007年4月の当院開設以来2014年12月31日までの7年9カ月に埼玉医科大学国際医療センター頭頸部腫瘍科・耳鼻咽喉科で一次治療を行った75歳以上の頭頸部がん348例について検討した. 結果: 平均年齢は81.7歳 (75~106歳), 男性221例, 女性127例であった. 原発巣は口腔癌と喉頭癌が多く, 甲状腺癌, 口腔癌...

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Veröffentlicht in:日本耳鼻咽喉科学会会報 2018/08/20, Vol.121(8), pp.1079-1087
Hauptverfasser: 高松, 俊輔, 南, 和彦, 菅澤, 正
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:目的: 高齢頭頸部がん患者は暦年齢だけで画一的に治療方針を決定することは難しく, 個々の背景を踏まえた上で余命も考慮しながら治療法を決定する必要がある. 当科で経験した症例に臨床的検討を加え, 高齢頭頸部がん患者における治療方針決定の基本姿勢について検討した. 方法: 2007年4月の当院開設以来2014年12月31日までの7年9カ月に埼玉医科大学国際医療センター頭頸部腫瘍科・耳鼻咽喉科で一次治療を行った75歳以上の頭頸部がん348例について検討した. 結果: 平均年齢は81.7歳 (75~106歳), 男性221例, 女性127例であった. 原発巣は口腔癌と喉頭癌が多く, 甲状腺癌, 口腔癌, 悪性黒色腫では女性の割合がほかの原発巣と比較して高かった. 266例 (76.4%) で何らかの併存疾患を有しており, 高血圧, 心機能障害, 脳血管障害, 糖尿病, 認知症の順に多かった. 根治治療を施行したのは238例 (68.4%) で, そのうち根治切除術を174例で施行したが, 81例は緩和治療であった. 根治治療群の疾患特異的5年生存率は77.2%であった. 結論: 高齢頭頸部がん患者はさまざまな身体的・精神的状態と社会的背景をかかえており, 個々の症例に応じた治療方針の決定が必要である. 高齢者であっても根治治療が可能な症例では非高齢者と遜色のない治療成績であり, 全身状態が良好であれば再建手術であっても安全に施行可能と考えられる.
ISSN:0030-6622
1883-0854
DOI:10.3950/jibiinkoka.121.1079