難聴を呈する希少疾患:クリオピリン関連周期性症候群 (Cryopyrin-associated periodic syndrome: CAPS)

クリオピリン関連周期性症候群は, IL-1β の過剰産生による発熱や激しい炎症を繰り返す自己炎症性症候群である. 2001年 NLRP3 遺伝子変異の発見によって, 家族性寒冷自己炎症症候群 (familial cold autoinflammatory syndrome: FCAS), Muckle-Wells 症候群 (MWS), CINCA 症候群/NOMID (chronic infantile neurological cutaneous and articular syndrome. Neonatal-onset multisystem inflammatory disease:...

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Veröffentlicht in:日本耳鼻咽喉科学会会報 2018/03/20, Vol.121(3), pp.187-192
Hauptverfasser: 高橋, 優宏, 岩崎, 聡, 岡野, 光博, 折舘, 伸彦, 加我, 君孝
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:クリオピリン関連周期性症候群は, IL-1β の過剰産生による発熱や激しい炎症を繰り返す自己炎症性症候群である. 2001年 NLRP3 遺伝子変異の発見によって, 家族性寒冷自己炎症症候群 (familial cold autoinflammatory syndrome: FCAS), Muckle-Wells 症候群 (MWS), CINCA 症候群/NOMID (chronic infantile neurological cutaneous and articular syndrome. Neonatal-onset multisystem inflammatory disease: CINCA/NOMID) の3疾患が同一遺伝子変異によるものとして CAPS として統合された. 臨床症状は発熱, 蕁麻疹様皮疹, 結膜炎, 関節炎を反復し, 進行性感音難聴を特徴としている. いずれも100万人に1人という極めてまれな疾患で, 本邦で確認されている患者数は100人ほどである. 感音難聴について, CAPS3 疾患を比較すると FCAS では難聴はみられず, 全身症状の強く発現する CINCA/NOMID では乳児期から感音難聴の進行がみられ, 時として重度難聴に至る. 全身症状と感音難聴の重症度が重なるため聴覚障害は疾患の鑑別に有用な特徴となる. CAPS に対して抗 IL-1 製剤である canakinumab (イラリス®) が保険適応となっている. canakinumab 投与によって長期にわたる高度難聴 CAPS 症例において全身症状だけでなく聴力改善傾向が認められ, 可逆的な蝸牛障害である CAPS 症例が存在することが示唆された. 抗 IL-1 製剤の登場によって劇的に患者の QOL は改善したが, 対症療法であり根治治療ではないため, 聴力についても今後の推移を注意深く観察する必要がある.
ISSN:0030-6622
1883-0854
DOI:10.3950/jibiinkoka.121.187