頭頸部扁平上皮がんに対する分子標的薬併用療法の有効性と問題点

本邦において2012年よりセツキシマブ (Cmab) の頭頸部がんへの導入が承認され, 広く臨床の場において使用されるようになった. 局所進行頭頸部扁平上皮がんに対しては, Cmab を併用した放射線療法 (Bioradiation therapy; BRT) が, 海外での治療成績をもとに行われている. 2013年1月より当科において入院期間の短縮を目的に BRT を外来通院治療に導入して得られたデータを解析した結果をまとめた. BRT の完遂率は高く, 入院期間の短縮に貢献できた. しかし, 口内炎・皮膚炎により入院での管理を必要とする症例は多く, 十分な支持療法の確立が大切であることを確...

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Veröffentlicht in:日本耳鼻咽喉科学会会報 2017/02/20, Vol.120(2), pp.109-114
Hauptverfasser: 花澤, 豊行, 越塚, 慶一, 有本, 昇平, 茶薗, 英明, 岡本, 美孝
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:本邦において2012年よりセツキシマブ (Cmab) の頭頸部がんへの導入が承認され, 広く臨床の場において使用されるようになった. 局所進行頭頸部扁平上皮がんに対しては, Cmab を併用した放射線療法 (Bioradiation therapy; BRT) が, 海外での治療成績をもとに行われている. 2013年1月より当科において入院期間の短縮を目的に BRT を外来通院治療に導入して得られたデータを解析した結果をまとめた. BRT の完遂率は高く, 入院期間の短縮に貢献できた. しかし, 口内炎・皮膚炎により入院での管理を必要とする症例は多く, 十分な支持療法の確立が大切であることを確認した. また, Cmab 特有の有害事象である Infusion reaction や間質性肺炎に対しては, 事前にしっかりした対応マニュアルと嚥下性肺炎との鑑別を常に念頭に置いて対応することが重要であることを確認した. BRT の治療効果としては, 原発巣の制御率は Chemoradiation therapy (CRT) に若干劣るものの, 放射線療法後の喉頭の機能 (嚥下機能も含め) に対する影響が少ないことを確認し, 放射線治療に併用する化学療法の適応を考える上での選択材料になると考える. また治療成績を2年生存率でみると, 有意差はないものの中・下咽頭がんにおいて BRT は CRT に比較しやや低い傾向があり, 観察期間を延ばして検討する必要がある. また, 注意すべき点としては, 照射終了後に肺転移が比較的早期に出現した症例があり, そのほとんどが N2b 以上の頸部リンパ節転移, 特に鎖骨上リンパ節転移を有する症例であったこと, また局所制御が十分に得られなかった症例であったことが確認できた. BRT の適応や治療計画を考える際には, Cmab の特性を十分に理解, 考慮した上で行う必要があると考える.
ISSN:0030-6622
1883-0854
DOI:10.3950/jibiinkoka.120.109