高齢者の嗄声への対応
「1. はじめに」 われわれ人間と他の動物との最大の違いは, 進化により高度に発達した音声言語コミュニケーション獲得である. 二足歩行となり, 前頭葉が発達したのはもちろんであるが, 喉頭の位置が下降し首の中央付近に位置するようになったことが大きい. 陸上に生活する哺乳類において, 喉頭の本来の機能は声門閉鎖による胸郭の固定と誤嚥の防止である. 人間は喉頭で呼気により声帯を振動させて喉頭原音を作り, この音に構音器官を含む長い声道で音色を加えて, 言語音として会話に用いるために咽頭腔が延長した. 喉仏が首の真ん中にあるのは人間の特徴で, 首の長いキリンや馬でさえ喉頭の位置は舌根の直下後方の口の...
Gespeichert in:
Veröffentlicht in: | 日本耳鼻咽喉科学会会報 2016/11/20, Vol.119(11), pp.1442-1443 |
---|---|
1. Verfasser: | |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
Tags: |
Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
|
Zusammenfassung: | 「1. はじめに」 われわれ人間と他の動物との最大の違いは, 進化により高度に発達した音声言語コミュニケーション獲得である. 二足歩行となり, 前頭葉が発達したのはもちろんであるが, 喉頭の位置が下降し首の中央付近に位置するようになったことが大きい. 陸上に生活する哺乳類において, 喉頭の本来の機能は声門閉鎖による胸郭の固定と誤嚥の防止である. 人間は喉頭で呼気により声帯を振動させて喉頭原音を作り, この音に構音器官を含む長い声道で音色を加えて, 言語音として会話に用いるために咽頭腔が延長した. 喉仏が首の真ん中にあるのは人間の特徴で, 首の長いキリンや馬でさえ喉頭の位置は舌根の直下後方の口の中に位置する. このため嚥下に際して, われわれは必ず喉頭を舌根に向け前上方に近付ける動作(喉頭の挙上)が誤嚥防止に必要になる. テレビなどで上を向いて, ビールを飲む宣伝が多く放映されるが, この際この喉頭の動きを注目すれば, 男女とも嚥下に伴い喉頭が持ち上がる姿を確認できる. |
---|---|
ISSN: | 0030-6622 1883-0854 |
DOI: | 10.3950/jibiinkoka.119.1442 |