小児深頸部感染症の臨床統計

小児に深頸部感染症が発症することはまれであり, 成人も含めた全体の約4.3%と報告されている. 小児深頸部感染症は上気道の炎症からリンパ節炎として発症し, その後深頸部間隙に波及することが多く, 感染巣から直接, 周囲組織へと炎症が波及する成人例とは臨床像が大きく異なる. 今回われわれは小児例の臨床的特徴を明らかにする目的で, 過去5年間に頸部造影 CT で深頸部感染症と診断した15歳未満の小児20例を対象にその臨床像を検討した. 検討項目は, 発症数, 初診時診療科, 患者背景, CT 撮影時期, 感染巣の部位, 検出菌, 治療方法と穿刺/切開排膿の時期, 総治療期間とした. 当院における年...

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Veröffentlicht in:日本耳鼻咽喉科学会会報 2016/11/20, Vol.119(11), pp.1379-1387
Hauptverfasser: 竹田, 貴策, 伊藤, 卓, 川島, 慶之, 畑中, 章生, 渡部, 誠一, 喜多村, 健, 堤, 剛
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:小児に深頸部感染症が発症することはまれであり, 成人も含めた全体の約4.3%と報告されている. 小児深頸部感染症は上気道の炎症からリンパ節炎として発症し, その後深頸部間隙に波及することが多く, 感染巣から直接, 周囲組織へと炎症が波及する成人例とは臨床像が大きく異なる. 今回われわれは小児例の臨床的特徴を明らかにする目的で, 過去5年間に頸部造影 CT で深頸部感染症と診断した15歳未満の小児20例を対象にその臨床像を検討した. 検討項目は, 発症数, 初診時診療科, 患者背景, CT 撮影時期, 感染巣の部位, 検出菌, 治療方法と穿刺/切開排膿の時期, 総治療期間とした. 当院における年度別の発症数は4.0±1.9人であり, 季節別では冬季 (12月~2月) が9例 (45%) と最も多かった. 初診時診療科は, 小児科を受診する傾向が高かった. 患者背景としては, 性別では男児に多く, 好発年齢では一定の傾向を認めなかった. また, 発症から入院までの日数は7.2±3.9日であり, 発症から CT 撮影時期までの平均日数は8.1±3.6日であった. 感染巣の部位は咽頭後間隙が最も多かった. 検出菌は Staphylococcus aureus が最も多く, 多剤耐性菌は全例で検出されなかった. 20例中15例 (75%) でまずは保存的治療を行い, 改善がなかった場合に治療開始後48時間以降から外科的治療を併用して, いずれも重篤な合併症を併発することなく治癒した.
ISSN:0030-6622
1883-0854
DOI:10.3950/jibiinkoka.119.1379