耳鳴治療のエビデンス

「1. はじめに」耳鳴とは「外部の音がないのに音の知覚を生じる現象」であり, そのほとんどが患者自身のみ症状を自覚する自覚的耳鳴である. 現状では慢性的に持続する自覚的耳鳴を消失させる治療は確立されていないが, 耳鳴による心理的苦痛や生活障害を軽減させることは十分可能であり, 臨床の現場ではその目的で診療を行っている. 本稿では, 耳鳴患者の心理的苦痛・生活障害を改善させることを目的とする治療について, その治療法とエビデンスについて解説する. 「2. 耳鳴治療とエビデンス」1) 教育的指導・カウンセリング 耳鳴患者においては, 耳鳴の原因や予後が分からないという不安で苦痛が悪化していることが...

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Veröffentlicht in:日本耳鼻咽喉科学会会報 2016/09/20, Vol.119(9), pp.1242-1243
1. Verfasser: 新田, 清一
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「1. はじめに」耳鳴とは「外部の音がないのに音の知覚を生じる現象」であり, そのほとんどが患者自身のみ症状を自覚する自覚的耳鳴である. 現状では慢性的に持続する自覚的耳鳴を消失させる治療は確立されていないが, 耳鳴による心理的苦痛や生活障害を軽減させることは十分可能であり, 臨床の現場ではその目的で診療を行っている. 本稿では, 耳鳴患者の心理的苦痛・生活障害を改善させることを目的とする治療について, その治療法とエビデンスについて解説する. 「2. 耳鳴治療とエビデンス」1) 教育的指導・カウンセリング 耳鳴患者においては, 耳鳴の原因や予後が分からないという不安で苦痛が悪化していることが多いので, それを知るだけでも不安が軽減して症状は改善する. つまり耳鳴を正しく理解することそのものが心理的苦痛を改善させる治療となるため, 教育的指導は重要な意味を持つ.
ISSN:0030-6622
1883-0854
DOI:10.3950/jibiinkoka.119.1242