耳鼻咽喉科における不安・抑うつへの対応
心身症とは身体疾患のうち, ストレスや生活習慣などの心理社会的影響が, 症状の発症や病態の変化に影響を与える疾患のことである. 現在の定義ではうつなどの精神疾患に伴うものは除外するとなっている. しかし, 実際にはこの鑑別は非常に困難である. 耳鼻咽喉科では感覚器疾患を扱うため心身症の割合は少なくない. 過去の一般総合病院耳鼻咽喉科における調査では初診患者586名のうち22.7%に心身症を認めた. 主訴ではめまい, 耳鳴, 咽喉頭異常感症ではその割合は高かった. これらはこれまで主に耳鼻咽喉科ではなく心療内科や精神科によって治療をされていたが, 必ずしも十分な治療が行われているとは限らなかった...
Gespeichert in:
Veröffentlicht in: | 日本耳鼻咽喉科学会会報 2015/08/20, Vol.118(8), pp.1011-1015 |
---|---|
1. Verfasser: | |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Schlagworte: | |
Online-Zugang: | Volltext |
Tags: |
Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
|
Zusammenfassung: | 心身症とは身体疾患のうち, ストレスや生活習慣などの心理社会的影響が, 症状の発症や病態の変化に影響を与える疾患のことである. 現在の定義ではうつなどの精神疾患に伴うものは除外するとなっている. しかし, 実際にはこの鑑別は非常に困難である. 耳鼻咽喉科では感覚器疾患を扱うため心身症の割合は少なくない. 過去の一般総合病院耳鼻咽喉科における調査では初診患者586名のうち22.7%に心身症を認めた. 主訴ではめまい, 耳鳴, 咽喉頭異常感症ではその割合は高かった. これらはこれまで主に耳鼻咽喉科ではなく心療内科や精神科によって治療をされていたが, 必ずしも十分な治療が行われているとは限らなかった. どのような症例が心身症かイメージしにくい場合には, おおよそこれまで不定愁訴や, 医学的に説明できない身体症状 (MUS: medically unexplained symptom) として取り扱われてきた患者の多くが心身症であると考えてよい. 今回はその心身症のうち特にめまいに着目しその診断, 治療について概説する. 心身症の診断においては問診が最も重要であるが, 必ずしも十分な時間をかけられない. そのような際に質問紙を活用することで診察時間を短縮し, 必要な情報を短時間で得ることができる. めまいの質問紙として代表的なものは DHI (dizziness handicap inventory) である. DHI を活用することで心身症の治療, 抗うつ薬の適応症例などをスクリーニングすることができる. 耳鼻咽喉科医であっても不安・抑うつにうまく対応することができるとさまざまな疾患の予後を改善させることができる. |
---|---|
ISSN: | 0030-6622 1883-0854 |
DOI: | 10.3950/jibiinkoka.118.1011 |