「第115回日本耳鼻咽喉科学会総会臨床セミナー」 好酸球性副鼻腔炎 : 診断ガイドライン (JESREC Study)

これまで本邦における慢性副鼻腔炎は好中球浸潤が主体で, 内視鏡鼻副鼻腔手術とマクロライド少量長期投与にてかなり治療成績が向上してきた. しかし2000年頃からそれらの治療に抵抗性を示し, 易再発性の難治性副鼻腔炎が増加してきた. この副鼻腔炎は, 成人発症で, 嗅覚障害を伴い, 両側に鼻茸があり, 篩骨洞優位の陰影があった. 末梢好酸球も多く, 気管支喘息やアスピリン不耐症の合併もあった. このような副鼻腔炎の粘膜には多数の好酸球浸潤が認められていたため, 好酸球性副鼻腔炎と命名された. 好酸球性副鼻腔炎は, 徐々に増加傾向を示してきたが, 好酸球性副鼻腔炎の概念診断基準はあまり明確に普及して...

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Veröffentlicht in:日本耳鼻咽喉科学会会報 2015-06, Vol.118 (6), p.728-735
Hauptverfasser: 藤枝重治, 坂下雅文, 徳永貴広, 岡野光博, 春名威範, 吉川衛, 鴻信義, 浅香大也, 春名眞一, 中山次久, 石戸谷淳一, 佐久間康徳, 平川勝洋, 竹野幸夫, 氷見徹夫, 関伸彦, 飯野ゆき子, 吉田尚弘, 小林正佳, 坂井田寛, 近藤健二, 山岨達也, 三輪高喜, 山田奏子, 河田了, 寺田哲也, 川内秀之, 森倉一朗, 池田勝久, 村田潤子, 池田浩己, 野口恵美子, 玉利真由美, 広田朝光, 意元義政, 高林哲司, 富田かおり, 二之宮貴裕, 森川太洋, 浦島充佳
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:これまで本邦における慢性副鼻腔炎は好中球浸潤が主体で, 内視鏡鼻副鼻腔手術とマクロライド少量長期投与にてかなり治療成績が向上してきた. しかし2000年頃からそれらの治療に抵抗性を示し, 易再発性の難治性副鼻腔炎が増加してきた. この副鼻腔炎は, 成人発症で, 嗅覚障害を伴い, 両側に鼻茸があり, 篩骨洞優位の陰影があった. 末梢好酸球も多く, 気管支喘息やアスピリン不耐症の合併もあった. このような副鼻腔炎の粘膜には多数の好酸球浸潤が認められていたため, 好酸球性副鼻腔炎と命名された. 好酸球性副鼻腔炎は, 徐々に増加傾向を示してきたが, 好酸球性副鼻腔炎の概念診断基準はあまり明確に普及していかなかった. そこで全国規模の疫学調査と診断ガイドライン作成を目的に多施設共同大規模疫学研究(Japanese Epidemiological Survey of Refractory Eosinophilic Chronic Rhinosinusitis Study: JESREC Study)を行った. その結果, 両側病変, 鼻茸あり, CT所見, 血中好酸球比率からなる臨床スコアによる簡便な診断基準を作成した. さらに臨床スコア, アスピリン不耐症, NSAIDsアレルギー, 気管支喘息の合併症, CT所見, 血中好酸球比率による重症度分類も決定した. 4つに分類した重症度分類は, 術後の鼻茸再発と有意に相関し, 最も易再発性かつ難治性の重症好酸球性副鼻腔炎はおよそ全国に2万人いることが判明した. 治療法については経口コルチコステロイド以外まだ確立されておらず, 早急なる対応が急務と考えている.
ISSN:0030-6622