小児における B-mode 上顎洞超音波検査の有用性について

副鼻腔超音波検査は1980年代に主に報告・実用化されたが, その後普及には至らなかった. しかし, 近年小児副鼻腔炎における再度の利用報告が挙げられている. このため画像精度を再検証し, 有用性を評価することを目的とした. 対象は当科を受診した7歳から15歳の小児18人 (男8人・女10人, 平均年齢10.4歳) である. これら症例の上顎洞36側に水平方向・垂直方向の2方向から超音波検査を施行し, 同時期に副鼻腔CTを施行. 一部症例には上顎洞内視鏡検査を施行し比較検討を行った. 上顎洞超音波検査の結果を副鼻腔CTと比較したところ, 感度92.6%, 特異度100%, 偽陽性0%, 偽陰性7...

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Veröffentlicht in:日本耳鼻咽喉科学会会報 2014/01/20, Vol.117(1), pp.26-33
Hauptverfasser: 森, 文, 中山, 次久, 月舘, 利治, 平林, 秀樹, 春名, 眞一
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:副鼻腔超音波検査は1980年代に主に報告・実用化されたが, その後普及には至らなかった. しかし, 近年小児副鼻腔炎における再度の利用報告が挙げられている. このため画像精度を再検証し, 有用性を評価することを目的とした. 対象は当科を受診した7歳から15歳の小児18人 (男8人・女10人, 平均年齢10.4歳) である. これら症例の上顎洞36側に水平方向・垂直方向の2方向から超音波検査を施行し, 同時期に副鼻腔CTを施行. 一部症例には上顎洞内視鏡検査を施行し比較検討を行った. 上顎洞超音波検査の結果を副鼻腔CTと比較したところ, 感度92.6%, 特異度100%, 偽陽性0%, 偽陰性7.4%, 陽性的中率100%, 陰性的中率81.8%であった. これまでの報告では小児上顎洞X線検査の副鼻腔CTと比較した感度・特異度は約70~80%であり, X線検査より良好な結果となった. また, 重症度判定においても有意な相関関係を認め, 超音波検査にて重症度も判定可能と思われた. 一方で, 超音波検査の現時点での限界として, 上顎洞内陰影の性状までは判断困難であること, 軽度粘膜肥厚や後方のみの病変は捉えにくいことが分かった. また, 低年齢児や他副鼻腔での検証が未施行であり, さらなる検討が必要と思われた. しかし, 小児は無症状でも画像所見を認めることが多く画像特異度が低いため, 検討結果にかかわらず診断に際しては鼻腔所見や臨床症状が優先される.
ISSN:0030-6622
1883-0854
DOI:10.3950/jibiinkoka.117.26