「他領域からのトピックス」腸管粘膜における樹状細胞の役割

健常人の腸は, 常在菌叢, 腸管上皮, 腸関連リンパ組織より構成されている. 免疫反応の主たる場である腸関連リンパ組織は, 常在菌叢や食餌由来の抗原には反応を起こさず, 一方で, 外来病原微生物には効率よく免疫反応を惹起しなければならない. この一見逆説的なホメオスターシスの構築や維持に樹状細胞が重要な役割を担うことが明らかになりつつある. 本稿では, 腸のホメオスターシスの構築や維持における樹状細胞の役割を, 常在菌叢や腸管上皮の役割と関連付けながら概説する. 「はじめに」粘膜は多くの病原体の侵入の場であり, 皮膚と異なり, 鼻腔, 気道, 肺, 腸などは単層上皮で覆われている. ヒトの腸の...

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Veröffentlicht in:日本耳鼻咽喉科学会会報 2011-03, Vol.114 (3), p.107-113
1. Verfasser: 樗木俊聡
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:健常人の腸は, 常在菌叢, 腸管上皮, 腸関連リンパ組織より構成されている. 免疫反応の主たる場である腸関連リンパ組織は, 常在菌叢や食餌由来の抗原には反応を起こさず, 一方で, 外来病原微生物には効率よく免疫反応を惹起しなければならない. この一見逆説的なホメオスターシスの構築や維持に樹状細胞が重要な役割を担うことが明らかになりつつある. 本稿では, 腸のホメオスターシスの構築や維持における樹状細胞の役割を, 常在菌叢や腸管上皮の役割と関連付けながら概説する. 「はじめに」粘膜は多くの病原体の侵入の場であり, 皮膚と異なり, 鼻腔, 気道, 肺, 腸などは単層上皮で覆われている. ヒトの腸の表面積は最大で400m2にも及ぶ. 腸は食物の消化吸収の場であり, 1014個もの常在菌の住処でもある. 常在菌叢や食物抗原に反応しない(免疫寛容)腸管免疫系の特徴は, それら抗原に対する選択圧のもとで進化獲得され共利共生関係が構築されたのかもしれない.
ISSN:0030-6622