「第111回日本耳鼻咽喉科学会総会シンポジウム」 他科からの耳鼻咽喉科への期待-内科臨床研究医からの耳鼻咽喉科への期待

呼吸器感染症の起炎病原として重要なインフルエンザ菌は, 自らが考案した新しい気管支局所採痰法でFildes変法培地を用いて, 単一コロニーとして分離した(1967年). それまで本菌をグラム染色にてグラム陰性小桿菌として見ていたにもかかわらず, 染色ゴミと判断していた. その後, 慢性呼吸器感染症の起炎病原として, 日本で見直された機となった. その後, 内科領域では無莢膜インフルエンザ菌が主流となった. 1981年Branhamella catarrhalisの呼吸器感染症の普遍病原菌として検出し, 以後気道粘膜細胞への付着機構も明らかにした. 上気道と下気道は密接なもので, この事実は喀痰...

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Veröffentlicht in:日本耳鼻咽喉科学会会報 2011-02, Vol.114 (2), p.60-65
1. Verfasser: 松本慶蔵
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:呼吸器感染症の起炎病原として重要なインフルエンザ菌は, 自らが考案した新しい気管支局所採痰法でFildes変法培地を用いて, 単一コロニーとして分離した(1967年). それまで本菌をグラム染色にてグラム陰性小桿菌として見ていたにもかかわらず, 染色ゴミと判断していた. その後, 慢性呼吸器感染症の起炎病原として, 日本で見直された機となった. その後, 内科領域では無莢膜インフルエンザ菌が主流となった. 1981年Branhamella catarrhalisの呼吸器感染症の普遍病原菌として検出し, 以後気道粘膜細胞への付着機構も明らかにした. 上気道と下気道は密接なもので, この事実は喀痰の細菌と細胞の両者の検討から知り得た. 呼吸器感染病学は耳鼻咽喉科学と密接な関係にある. 気道分泌研究会もその流れに添ったものである. インフルエンザ罹患後の肺炎の成立も両学会領域の共同研究なくしては, 正しくは把握できない. 肺炎球菌性肺炎の成立を考えても明白である. 起炎病原は化学療法の発達により, 耐性化と菌交代が生ずるとともに, 宿主側も高齢化とハイリスク患者の増加によって変貌を継続していく. 扁桃は果たしていかなる役割を持っているのか, 本質は知られているのかは耳鼻咽喉科学側からの返答を期待したい. 今日内科, 老年学の最大の悩みは誤嚥性肺炎である. 呼吸器科, 耳鼻咽喉科, 老年科, 神経内科等一大総合研究の実施が求められている.
ISSN:0030-6622