高齢発症の重症筋無力症に対する嚥下・構音機能改善手術の経験
高齢発症の重症筋無力症は, 加齢による生理的変化や脳血管障害などの既往のために症状が顕在化し難く, 診断に至るまでの困難さがあると同時に, 既往や合併症のために治療に制限が加わることが多く, 治療にも難渋する. 症例は84歳女性. 2年前から嚥下困難, 構音障害などの症状が出現. 今回, 誤嚥性肺炎を契機にクリーゼを起こし, 当科へ緊急入院. 入院後, 重症筋無力症と診断された (胸腺腫の合併はない). 人工呼吸器管理と抗コリンエステラーゼ剤投与によりクリーゼから離脱し, 再び自力呼吸, 歩行ができるようになったが, 嚥下・構音障害の改善は得られなかった. 本症例に対しては, 二度の腰椎圧迫骨...
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Veröffentlicht in: | 日本耳鼻咽喉科学会会報 2010, Vol.113(10), pp.805-809 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
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Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 高齢発症の重症筋無力症は, 加齢による生理的変化や脳血管障害などの既往のために症状が顕在化し難く, 診断に至るまでの困難さがあると同時に, 既往や合併症のために治療に制限が加わることが多く, 治療にも難渋する. 症例は84歳女性. 2年前から嚥下困難, 構音障害などの症状が出現. 今回, 誤嚥性肺炎を契機にクリーゼを起こし, 当科へ緊急入院. 入院後, 重症筋無力症と診断された (胸腺腫の合併はない). 人工呼吸器管理と抗コリンエステラーゼ剤投与によりクリーゼから離脱し, 再び自力呼吸, 歩行ができるようになったが, 嚥下・構音障害の改善は得られなかった. 本症例に対しては, 二度の腰椎圧迫骨折の既往を伴う高度の骨粗鬆症のためステロイドが使用できなかった. また, 超高齢であり, 痩せが強く, 免疫予備能の低下が予想されたために免疫抑制剤も使用できなかった. そこで, 輪状咽頭筋切除術および両側の口蓋咽頭側面縫縮術を行ったところ, 常食の経口摂取が可能となり, 構音も著明改善した. |
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ISSN: | 0030-6622 1883-0854 |
DOI: | 10.3950/jibiinkoka.113.805 |