中耳良性腫瘍の免疫病理組織像とその臨床的特徴

中耳良性腫瘍は比較的めずらしい腫瘍であるが, 当施設で経験した中耳傍神経節腫瘍, 中耳カルチノイド, 中耳腺腫の6例を報告する. 術前に臨床所見, 画像所見より中耳良性腫瘍と考え中耳手術を行った6例を対象とした. 手術は診断と治療を兼ね, 中耳腫瘍摘出術, または鼓室開放術を行った. 手術により得られた標本に対しHE染色, 免疫組織染色を行い確定診断とした. これらの3疾患のHE染色の病理組織像はたいへん似通っており, 診断は困難であった. 特に中耳カルチノイドと中耳腺腫は混同されやすく, 確定診断には免疫組織染色が重要であると考えられた. 画像検査では側頭骨CTで傍神経節腫瘍の術前診断が可能...

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Veröffentlicht in:日本耳鼻咽喉科学会会報 2007/05/20, Vol.110(5), pp.403-409
Hauptverfasser: 猿谷, 昌司, 長嶺, 尚代, 小宮, 卓, 伊藤, 茂彦, 飯野, ゆき子, 小寺, 一興, 今村, 哲夫
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:中耳良性腫瘍は比較的めずらしい腫瘍であるが, 当施設で経験した中耳傍神経節腫瘍, 中耳カルチノイド, 中耳腺腫の6例を報告する. 術前に臨床所見, 画像所見より中耳良性腫瘍と考え中耳手術を行った6例を対象とした. 手術は診断と治療を兼ね, 中耳腫瘍摘出術, または鼓室開放術を行った. 手術により得られた標本に対しHE染色, 免疫組織染色を行い確定診断とした. これらの3疾患のHE染色の病理組織像はたいへん似通っており, 診断は困難であった. 特に中耳カルチノイドと中耳腺腫は混同されやすく, 確定診断には免疫組織染色が重要であると考えられた. 画像検査では側頭骨CTで傍神経節腫瘍の術前診断が可能な症例も存在するが, われわれの症例では診断が困難であり側頭骨MRIが有用であった. 中耳カルチノイドや中耳腺腫では, 側頭骨CT, MRI所見も含め一定の傾向はなく術前診断には有効ではなかった. 治療についてはいずれの疾患も手術治療が基本である. 悪性腫瘍とは異なるが, 腫瘍の全摘出が原則である. 手術は2段階手術とし, 初回手術ではあぶみ骨以外の耳小骨を除去し, 腫瘍の摘出を行った. 二期手術で腫瘍の残存を確認し, また伝音連鎖再建術を行う方針とした.
ISSN:0030-6622
1883-0854
DOI:10.3950/jibiinkoka.110.403