外側輪状披裂筋牽引術と甲状軟骨形成術I型を併用した5症例の検討

外側輪状披裂筋牽引術(lateral cricoarytenoid muscle pull:以下LCA-Pull)と甲状軟骨形成術I型(以下I型)を併用した片側性喉頭麻痺5症例についてその効果を検討した. 当科では2000年より片側性喉頭麻痺に対しLCA-Pullを行ってきたが, 当初はその効果を判断するために高度嗄声例に対してもあえて単独で対応してきた. その結果は最長発声持続時間(MPT)10秒以上を「改善」としたところ75%の改善率であったが, 改善例の中にも聴覚印象的には不満足な症例があった. この結果をふまえ我々は2004年6月以降, 高度嗄声を呈した症例に対してはLCA-Pullと...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:日本耳鼻咽喉科学会会報 2006, Vol.109 (2), p.84-87
Hauptverfasser: 金林秀則, 渡嘉敷亮二, 平松宏之, 鈴木衛
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:外側輪状披裂筋牽引術(lateral cricoarytenoid muscle pull:以下LCA-Pull)と甲状軟骨形成術I型(以下I型)を併用した片側性喉頭麻痺5症例についてその効果を検討した. 当科では2000年より片側性喉頭麻痺に対しLCA-Pullを行ってきたが, 当初はその効果を判断するために高度嗄声例に対してもあえて単独で対応してきた. その結果は最長発声持続時間(MPT)10秒以上を「改善」としたところ75%の改善率であったが, 改善例の中にも聴覚印象的には不満足な症例があった. この結果をふまえ我々は2004年6月以降, 高度嗄声を呈した症例に対してはLCA-PullとI型とを併用する方針とした. 2004年10月から2005年3月までの6ヵ月間に両術式を併用した症例は5例で, 4例は一期的に両術式を行い, 残り1例は2004年10月以前にLCA-Pullを施行し, 上記期間内にI型を追加した.これら5症例に対しMPT, 発声時平均呼気流率(MFR), GRBASを用いた聴覚印象による評価を行い, 全例正常音声と判断できるレベルまで改善した. LCA-PullとI型の併用は甲状軟骨板を経由した同一術野での手術であり, 両術式を併用する必要のある高度嗄声症例に対し有用である.
ISSN:0030-6622
DOI:10.3950/jibiinkoka.109.84