遊離空腸による再建術後の移植腸間膜リンパ節腫脹に関する検討
下咽頭癌は頭頸部癌の中で最も予後不良な疾患の1つである. 進行癌症例に対する外科的療法では下咽頭・喉頭・頸部食道摘出術(咽喉食摘術)が標準的であり, しばしば遊離空腸による再建術が行われるが, 術後, 移植腸管の周囲にあたる部位にリンパ節の腫脹と思われる腫瘤を触知することがある. 今回我々は, 術後に移植腸間膜のリンパ節転移を認めた症例を経験したので, 東大病院耳鼻咽喉科における遊離空腸移植症例の検討をあわせてここに報告する. 1982年から2002年まで東大病院耳鼻咽喉科にて, 咽喉食摘術後に遊離空腸による咽頭・食道再建を施行した症例は136例あり, そのうち術後頸部CTが検討可能であった7...
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Veröffentlicht in: | 日本耳鼻咽喉科学会会報 2006-01, Vol.109 (1), p.19-23 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 下咽頭癌は頭頸部癌の中で最も予後不良な疾患の1つである. 進行癌症例に対する外科的療法では下咽頭・喉頭・頸部食道摘出術(咽喉食摘術)が標準的であり, しばしば遊離空腸による再建術が行われるが, 術後, 移植腸管の周囲にあたる部位にリンパ節の腫脹と思われる腫瘤を触知することがある. 今回我々は, 術後に移植腸間膜のリンパ節転移を認めた症例を経験したので, 東大病院耳鼻咽喉科における遊離空腸移植症例の検討をあわせてここに報告する. 1982年から2002年まで東大病院耳鼻咽喉科にて, 咽喉食摘術後に遊離空腸による咽頭・食道再建を施行した症例は136例あり, そのうち術後頸部CTが検討可能であった72例を対象とした. 全観察期間において, 移植空腸の腸間膜にあたる部分に5mm以上のリンパ節腫大を認めたものは72例中43例(60%)あり, 29例(40%)においては径10mm以上だった. 術後複数回の頸部CTを検討できた症例は72例中33例あり, 24例(30%)で5mm以上のリンパ節腫大を認めた. 観察期間中に腫大リンパ節が増大傾向を示したものは24例中13例(54%)であった. 臨床的には反応性の腫大がほとんどだが, 増大傾向を示した13例のうち1例で病理学的に, 1例で画像診断上転移が疑われた. 臨床的に悪性を疑う場合には細胞診で診断するが, 安易な穿刺は血管柄の損傷から移植空腸の壊死を引き起こす危険性があるため, エコーガイド下に注意して行うべきである. |
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ISSN: | 0030-6622 |
DOI: | 10.3950/jibiinkoka.109.19 |