先天性真珠腫手術例の臨床的検討

最近11年間に当科で手術を行った先天性真珠腫34例35耳について, 真珠腫の局在と進展様式を中心に検討し, その発生部位を推察した. 男性22例23耳女性12例12耳で, 年齢分布は2歳から55歳にわたった. (1)真珠腫の上皮と鼓膜との連続性がないこと, (2)鼓膜に陥門や穿孔を認めず上皮侵入の機会がないこと, の2点を基準に先天性と診断した. 真珠腫の病変は, 全例母膜が嚢状となったclosed型であり, 上皮が膜様に存在するopen型は認められなかった. 先天性真珠腫の発生部位として, 前上象限型と後上象限型に加えて, 上鼓室型の存在が示唆された. また先天性真珠腫をすべて単一の発生機序...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:日本耳鼻咽喉科学会会報 2004, Vol.107 (11), p.998-1003
Hauptverfasser: 岡野高之, 岩永迪孝, 與那嶺裕, 箕山学, 柿木裕史, 田原史子, 田辺正博
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:最近11年間に当科で手術を行った先天性真珠腫34例35耳について, 真珠腫の局在と進展様式を中心に検討し, その発生部位を推察した. 男性22例23耳女性12例12耳で, 年齢分布は2歳から55歳にわたった. (1)真珠腫の上皮と鼓膜との連続性がないこと, (2)鼓膜に陥門や穿孔を認めず上皮侵入の機会がないこと, の2点を基準に先天性と診断した. 真珠腫の病変は, 全例母膜が嚢状となったclosed型であり, 上皮が膜様に存在するopen型は認められなかった. 先天性真珠腫の発生部位として, 前上象限型と後上象限型に加えて, 上鼓室型の存在が示唆された. また先天性真珠腫をすべて単一の発生機序で説明するのは困難であった. 手術法ではcanal wall up法で行ったものが31耳で, 4耳にcanal wall down法を施行した. 一期的に手術を行ったのは4耳であり, 他はsecond look operarionを含め何らかの形で段階的に手術を行い, 真珠腫の再発への対策とした.
ISSN:0030-6622