Cochleosaccular degenerationを呈した高度難聴耳の側頭骨病理

蝸牛と球形嚢に限局した内耳異常には, 先天異常によるcochleosaccular dysplasiaと後天的に生じたcochleosaccular degenerationがある. しかし側頭骨病理標本上, 典型的な蝸牛・球形嚢のみに限局した異常を観察することは非常にまれである. 今回我々は幼少期から左難聴が存在し, 蝸牛・球形嚢に限局した内耳異常を示した72歳男性の症例を経験した. 純音聴力検査では牛耳の高度感音難聴を認めた. 側頭骨病理で左耳では内外有毛細胞の完全消失を伴うコルチ器の平低化, 蓋膜のrolled-up, 血管条の萎縮, ラセン神経節細胞の減少に加え, 球形嚢の著しい変性が...

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Veröffentlicht in:日本耳鼻咽喉科学会会報 2004, Vol.107 (3), p.195-198
Hauptverfasser: 三枝華子, 飯野ゆき子, 中本吉紀, 宮澤哲夫, 村上嘉彦, 小寺一興
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:蝸牛と球形嚢に限局した内耳異常には, 先天異常によるcochleosaccular dysplasiaと後天的に生じたcochleosaccular degenerationがある. しかし側頭骨病理標本上, 典型的な蝸牛・球形嚢のみに限局した異常を観察することは非常にまれである. 今回我々は幼少期から左難聴が存在し, 蝸牛・球形嚢に限局した内耳異常を示した72歳男性の症例を経験した. 純音聴力検査では牛耳の高度感音難聴を認めた. 側頭骨病理で左耳では内外有毛細胞の完全消失を伴うコルチ器の平低化, 蓋膜のrolled-up, 血管条の萎縮, ラセン神経節細胞の減少に加え, 球形嚢の著しい変性が認められた. これらの所見はcochleosaccular degenerationの典型的所見と考えられた. よって本症例は幼少期のウイルス性内耳炎に起因する内耳変性により一側性高度感音難聴を生じたものと考えられた.
ISSN:0030-6622