先天性中耳真珠腫48例の検討-手術所見を中心として

過去21年間に当科で手術を行った先天性真珠腫48例48耳について, 初発症状, 鼓膜所見, 真珠腫の形状および存在部位, 耳小骨奇形の合併, 術式, 手術成績などについて検討した. 年齢は2歳から62歳(平均16.7歳)であり, closed型真珠腫が41耳, open型真珠腫が7耳であった. 症例の60.4%は15歳以下であった. 初発症状では難聴を訴えたものが多く58.2%であった. 特にopen型ではすべての症例において難聴が主症状であり, ほとんどの例で鼓膜所見が正常の症例であった. 真珠腫の存在範囲は鼓室後上部を中心とした症例が多く認められた. 存在部位による分類では鼓室型が12例(...

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Veröffentlicht in:日本耳鼻咽喉科学会会報 2003-09, Vol.106 (9), p.856-865
Hauptverfasser: 小島博己, 宮崎日出海, 田中康広, 志和成紀, 本多芳男, 森山寛
Format: Artikel
Sprache:eng ; jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:過去21年間に当科で手術を行った先天性真珠腫48例48耳について, 初発症状, 鼓膜所見, 真珠腫の形状および存在部位, 耳小骨奇形の合併, 術式, 手術成績などについて検討した. 年齢は2歳から62歳(平均16.7歳)であり, closed型真珠腫が41耳, open型真珠腫が7耳であった. 症例の60.4%は15歳以下であった. 初発症状では難聴を訴えたものが多く58.2%であった. 特にopen型ではすべての症例において難聴が主症状であり, ほとんどの例で鼓膜所見が正常の症例であった. 真珠腫の存在範囲は鼓室後上部を中心とした症例が多く認められた. 存在部位による分類では鼓室型が12例(25.0%)乳突洞型2例(4.2%), 錐体尖型1例(2.1%)であり, 鼓室から乳突洞にかけての進展例が31耳(64.5%)と多かった. また多発性真珠腫が2例(4.2%)に存在した. 耳小骨奇形の合併を疑わせる例は48耳中7耳(14.6%)にみられ, 特にopen型真珠腫では7耳中4耳と多くみられた. 一期的に手術を行えた症例は48耳中23耳で, 残りの25耳は段階手術が施行された. 58.3%の症例にアブミ骨上部構造の消失が認められ, このため耳小骨形成はIVc型が最も多く. IIIc型, I型の順であった. 耳科学会の新聴力改善判定基準(2000年)による成功率は77.8%であった. うち一期的手術では81.8%, 段階手術は73.9%であった.
ISSN:0030-6622
DOI:10.3950/jibiinkoka.106.856