外耳道異物の臨床統計的研究

外耳道異物は, 日常外来でしばしば遭遇する疾患である. 病態が単純であり診断も容易であるためか臨床像の分析あるいは多数例に基づく臨床統計的な検討についての報告が少ない. 本研究では, 1986年1月から2001年12月までの16年間に埼玉医科大学・耳鼻咽喉科を初診し病歴の記載が明らかで診断が確定した外耳道異物509症例の臨床像につき検討し, 臨床統計的検討を行った. 16年間の外耳道異物症例は, 509症例でこの間の新患患者数は68,579名であり, 外耳道異物が新患患者に対して占める割合は, 0.74%であった. 異物症例の受診時間帯をみると時間内を受診したのは161症例(31.6%), 時...

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Veröffentlicht in:日本耳鼻咽喉科学会会報 2003, Vol.106 (6), p.678-684
Hauptverfasser: 和田伊佐雄, 加瀬康弘, 飯沼壽孝
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:外耳道異物は, 日常外来でしばしば遭遇する疾患である. 病態が単純であり診断も容易であるためか臨床像の分析あるいは多数例に基づく臨床統計的な検討についての報告が少ない. 本研究では, 1986年1月から2001年12月までの16年間に埼玉医科大学・耳鼻咽喉科を初診し病歴の記載が明らかで診断が確定した外耳道異物509症例の臨床像につき検討し, 臨床統計的検討を行った. 16年間の外耳道異物症例は, 509症例でこの間の新患患者数は68,579名であり, 外耳道異物が新患患者に対して占める割合は, 0.74%であった. 異物症例の受診時間帯をみると時間内を受診したのは161症例(31.6%), 時間外は, 348症例(68.4%)であった. 性別では, 男性307症例(60.3%), 女性202症例(39.7%)であった. 左右別では, 右側251症例(49.3%)左側241症例(47.3%), 両側4症例(0.8%)であった. 受診月別にみると月平均42.4症例で, 7月, 8月と気温の高い時期に多く認めた. 年齢分布では, 平均年齢25.4歳で生後1ヵ月の乳児から90歳までの各年齢層に認めた. 年代別でみると9歳以下の小児が182症例(35.8%)で最も多かった. 種類別にみると, 有生物206症例(40.5%), 無生物は288症例(56.6%)であった. また, 受診月別平均気温と有生物の症例数の間には極めて強い相関関係が認められた.
ISSN:0030-6622
DOI:10.3950/jibiinkoka.106.678