外耳奇形を伴わない中耳奇形の検討

最近10年間に当科で手術を行った, 外耳に異常を伴わない中耳奇形について, 奇形の状態・術前検査・手術手技およびその成績について検討し考察を加えた. 対象は, 平成5年6月から平成14年6月までの10年間に当科で手術を行った, 外耳に奇形を伴わない中耳奇形症例24例29耳である. 真珠腫を合併するものや耳小骨の奇形がなくアブミ骨の固着のみのものは含めていない. 性別は男性11例12耳女性13例17耳であった. 今回我々は臨床的に, 奇形の部位と状態を(i)アブミ骨の固着なくキヌタ・アブミ関節周囲の離断のあったもの16耳(ii)先天的にアブミ骨の固着のあったもの9耳(iii)アブミ骨の固着なくツ...

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Veröffentlicht in:日本耳鼻咽喉科学会会報 2003, Vol.106 (3), p.199-205
Hauptverfasser: 岡野高之, 岩永迪孝, 與那嶺裕, 箕山学, 柿木裕史, 田原史子, 田辺正博
Format: Artikel
Sprache:eng ; jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:最近10年間に当科で手術を行った, 外耳に異常を伴わない中耳奇形について, 奇形の状態・術前検査・手術手技およびその成績について検討し考察を加えた. 対象は, 平成5年6月から平成14年6月までの10年間に当科で手術を行った, 外耳に奇形を伴わない中耳奇形症例24例29耳である. 真珠腫を合併するものや耳小骨の奇形がなくアブミ骨の固着のみのものは含めていない. 性別は男性11例12耳女性13例17耳であった. 今回我々は臨床的に, 奇形の部位と状態を(i)アブミ骨の固着なくキヌタ・アブミ関節周囲の離断のあったもの16耳(ii)先天的にアブミ骨の固着のあったもの9耳(iii)アブミ骨の固着なくツチ骨の可動性制限のあったもの4耳と, まず大きく3つに分類し, その中で更に, キヌタ骨長脚の変形・欠損, アブミ骨上部構造の変形・欠損, アブミ骨底板の固着の有無により分類した. 行われた術式はツチ・キヌタ関節の可動化2耳, III型5耳, IV型13耳, アブミ骨手術8耳であり, 25耳で聴力の改善を認めた. 外耳奇形を伴わない中耳奇形の分類に関しては, 固着・離断に加え, 変形の要素も重要である. また手術に際しては, 奇形の多種多様性により幅広い耳小骨連鎖形成が要求されるが, 聴力改善の可能性は高く, 積極的な治療が必要である.
ISSN:0030-6622
DOI:10.3950/jibiinkoka.106.199