当科における内視鏡下鼻内副鼻腔手術症例の検討 -特に鼻茸合併症例を中心に

慢性副鼻腔炎に対する治療として内視鏡下鼻内副鼻腔手術が導入されて以来, 多くの施設に普及している. しかし, 日常臨床においては良好な術後経過が得られない症例に遭遇する場合もあり, これらの難治性症例に対するその原因および対策についての検討が望まれる. 今回我々は, 内視鏡下鼻内副鼻腔手術を行った慢性副鼻腔炎症例につき, 術前の重症度, および術後経過を, 特に鼻茸合併症例を中心に検討した. 対象は1993年1月から1997年12月までの5年間に三重大学耳鼻咽喉科で内視鏡下鼻内副鼻腔手術を行った17歳以上の慢性副鼻腔炎症例79例(男性50例, 女性29例)で年齢は17歳から79歳(平均50.6...

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Veröffentlicht in:日本耳鼻咽喉科学会会報 2000-09, Vol.103 (9), p.1001-1006
Hauptverfasser: 野々山勉, 間島雄一, 有馬忍, 竹内万彦, 坂倉康夫
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:慢性副鼻腔炎に対する治療として内視鏡下鼻内副鼻腔手術が導入されて以来, 多くの施設に普及している. しかし, 日常臨床においては良好な術後経過が得られない症例に遭遇する場合もあり, これらの難治性症例に対するその原因および対策についての検討が望まれる. 今回我々は, 内視鏡下鼻内副鼻腔手術を行った慢性副鼻腔炎症例につき, 術前の重症度, および術後経過を, 特に鼻茸合併症例を中心に検討した. 対象は1993年1月から1997年12月までの5年間に三重大学耳鼻咽喉科で内視鏡下鼻内副鼻腔手術を行った17歳以上の慢性副鼻腔炎症例79例(男性50例, 女性29例)で年齢は17歳から79歳(平均50.6歳)である. このうち両側手術例は62例, 左右どちらかの片側手術例は17例であった. また, 79例中初回手術例は54例で25例は過去に副鼻腔根本術, 鼻内副鼻腔手術, 鼻茸摘出術等の手術歴があった. なお, 経過観察期間の平均は術後17.5カ月であった. 術前の副鼻腔炎の重症度に対するStage分類はKennedyの分類を用いて検討し, 手術対象となった症例はStage 3が最も多かった. また, KennedyのStage分類は術後の鼻茸再発を予測するのに有効であるとは考えられず, diffuse polyposis病変や気管支喘息, アスピリン喘息合併症例に術後経過観察中に鼻茸の再発が多く認められた. 今回の検討により, diffuse polyposis病変を有するもの, 気管支喘息・アスピリン喘息合併例では特に念入りな術後の経過観察が必要であり, 再発を認めた場合には早期に外来で鼻茸の摘除あるいは浮腫性粘膜の除去を行い, 常にostiomeatal complex areaを開存させておくことが重要であると考えられた.
ISSN:0030-6622
DOI:10.3950/jibiinkoka.103.1001