舌根部甲状腺の有茎移植治療の1例

甲状腺の発生異常には, 異所性甲状腺がある. その中に舌根部に見られる特異的な腫瘤に舌根部甲状腺がある. 今回我々は, 22歳女性の舌根部甲状腺を経験した. 気道狭窄が出現したために手術を施行した. 右外頸動静脈からの栄養血管を温存して摘出し, 直径3cmの腫瘤を皮下に移植すると美容上問題があるため, 右顎下腺を摘出した跡に有茎移植した. 術後経過は順調であり, 術後1カ月目の甲状腺機能は術前と変化なく, 術後2カ月目の甲状腺シンチグラムにて移植部位で機能していることが確認できた. 現在2年6カ月経過しているが, 甲状腺ホルモンの投与量は全摘出した場合の1/4から1/8で済んでいる. 舌根部甲...

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Veröffentlicht in:日本耳鼻咽喉科学会会報 2000, Vol.103 (6), p.770-773
Hauptverfasser: 西山耕一郎, 山中盾, 廣島屋孝, 横堀学, 竹田昌弘, 小野雄一, 高橋廣臣
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:甲状腺の発生異常には, 異所性甲状腺がある. その中に舌根部に見られる特異的な腫瘤に舌根部甲状腺がある. 今回我々は, 22歳女性の舌根部甲状腺を経験した. 気道狭窄が出現したために手術を施行した. 右外頸動静脈からの栄養血管を温存して摘出し, 直径3cmの腫瘤を皮下に移植すると美容上問題があるため, 右顎下腺を摘出した跡に有茎移植した. 術後経過は順調であり, 術後1カ月目の甲状腺機能は術前と変化なく, 術後2カ月目の甲状腺シンチグラムにて移植部位で機能していることが確認できた. 現在2年6カ月経過しているが, 甲状腺ホルモンの投与量は全摘出した場合の1/4から1/8で済んでいる. 舌根部甲状腺の有茎移植を行い, 機能低下を最小限に防ぎ, 顎下腺摘出部に移植することより美容上満足する結果を得ることが出来た.
ISSN:0030-6622
DOI:10.3950/jibiinkoka.103.770