水流中の内視鏡下副鼻腔手術の試み―手術用後鼻孔バルーンの開発

後鼻孔を完全に遮蔽する手術用後鼻孔バルーンを開発し, 鼻内の大量の洗浄水還流と, 水流中での手術操作について検討した. 38例の慢性副鼻腔炎患者に手術用後鼻孔バルーンを装着し, 術後洗浄として最大毎分1000mlの洗浄水を注入し安全性を確認し, うち10例は手術操作と術野周辺の超音波診断を試みた. 泌尿器科における経尿道的手術であるTrans Urethral Resection of the Prostate(以後TURと略す)のような水流中の清明な視界のもとでの手術が可能で, 内視鏡先端汚染防止, 血液の持続除去, 摘除組織の自動排出の様子を確認した. 咽頭漏水は皆無で不快感もほぼなく,...

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Veröffentlicht in:日本耳鼻咽喉科学会会報 2000, Vol.103 (5), p.516-523
Hauptverfasser: 野田和裕, 土井勝美, 野入輝久, 肥塚泉, 久保武
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:後鼻孔を完全に遮蔽する手術用後鼻孔バルーンを開発し, 鼻内の大量の洗浄水還流と, 水流中での手術操作について検討した. 38例の慢性副鼻腔炎患者に手術用後鼻孔バルーンを装着し, 術後洗浄として最大毎分1000mlの洗浄水を注入し安全性を確認し, うち10例は手術操作と術野周辺の超音波診断を試みた. 泌尿器科における経尿道的手術であるTrans Urethral Resection of the Prostate(以後TURと略す)のような水流中の清明な視界のもとでの手術が可能で, 内視鏡先端汚染防止, 血液の持続除去, 摘除組織の自動排出の様子を確認した. 咽頭漏水は皆無で不快感もほぼなく, 問題点はほぼなかった. 超音波診断では, 内側壁欠損症例において眼球運動により眼窩内脂肪組織の中で視神経の動く様子が明瞭に描写でき, 今後さらに画像情報を蓄積することで副損傷回避の有力手段となる可能性が示唆された. 鼻腔内を大量の洗浄水で還流することを可能としたことで, 水中での手術操作, 超音波診断, 術中術後洗浄など今後の内視鏡下副鼻腔手術に新たな選択肢を与えると考えられた.
ISSN:0030-6622
DOI:10.3950/jibiinkoka.103.516