鼓膜癒着症の耳管機能―術前, 術後の評価
鼓膜癒着症は, 難治性疾患でありその病因や病態がいまだ解明されていない. その病因の一つとして耳管機能不全の関与が指摘されている. しかしその耳管機能不全の実態についてはいまだ明らかでない. 今回, 我々は手術治療を施行した鼓膜癒着症48症例(癒着性中耳炎24例, 癒着を伴う中耳真珠腫24例)の耳管機能について術前, 術後に評価を行い, 術後の鼓膜の状態との比較検討を加えた. 検査法としては術前は音響法, インピーダンス法の他, 動的鼓膜所見の観察を行い, 術後は加圧・減圧法, サッカリンテストを行った. 術前において動的鼓膜所見では57%, インピーダンス法では35%, 音響法では74%で耳...
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Veröffentlicht in: | 日本耳鼻咽喉科学会会報 1999-06, Vol.102 (6), p.818-824 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 鼓膜癒着症は, 難治性疾患でありその病因や病態がいまだ解明されていない. その病因の一つとして耳管機能不全の関与が指摘されている. しかしその耳管機能不全の実態についてはいまだ明らかでない. 今回, 我々は手術治療を施行した鼓膜癒着症48症例(癒着性中耳炎24例, 癒着を伴う中耳真珠腫24例)の耳管機能について術前, 術後に評価を行い, 術後の鼓膜の状態との比較検討を加えた. 検査法としては術前は音響法, インピーダンス法の他, 動的鼓膜所見の観察を行い, 術後は加圧・減圧法, サッカリンテストを行った. 術前において動的鼓膜所見では57%, インピーダンス法では35%, 音響法では74%で耳管の開閉が認められたが, いずれの方法でもその開閉率は, 健常者の開閉率に比べて劣っていた. また音響法における耳管開閉持続時間は鼓膜癒着症症例では健常者に比べて有意に短縮していたが, 一部に著しい延長があり, 耳管の狭窄傾向と一部の開放型が混在していた. 一方, 術後の加圧・減圧法では90.9%で耳管の開閉が認められず, また線毛性排泄能は81.3%で不良であった. 術後, 鼓膜の再陥凹や再癒着を呈する不良例の中には一部に耳管機能の比較的良好な症例もみられた. 全面癒着例と後半部癒着例との間では明らかな差はいずれの方法でも認められなかった. 鼓室形成術術後の鼓膜, 鼓室の状態と耳管機能は一部に相関しないものもあり, 術中の粘膜の除去など他の要因も考慮する必要があると考えられた. |
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ISSN: | 0030-6622 |
DOI: | 10.3950/jibiinkoka.102.818 |