前庭神経炎の長期観察

「はじめに」前庭神経炎は, 蝸牛症状を伴わない末梢前庭系疾患であるが, BPPV(良性発作性頭位眩暈症)に比し頻度が少なく, また難聴を伴わないため内科で治療される場合が多く, 耳鼻咽喉科医に疾患概念が十分理解されているとは言いにくい. また診断にはENG(electronystagmography, 電気眼振計)を用いた温度眼振検査が必要であり, そのため必ずしも正確に診断されていないのが現状であろう. 前庭神経炎という疾患概念は1952年DixとHallpike 1)によって提唱され, その後1956年AschanとStahle 2)がENGを用いた詳細な報告をしている. 本邦では1963...

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Veröffentlicht in:日本耳鼻咽喉科学会会報 1996-02, Vol.99 (2), p.306-349
Hauptverfasser: 一條宏明, 秋田二朗, 石井賢治, 宮腰靖始, 冨永健, 新川秀一
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「はじめに」前庭神経炎は, 蝸牛症状を伴わない末梢前庭系疾患であるが, BPPV(良性発作性頭位眩暈症)に比し頻度が少なく, また難聴を伴わないため内科で治療される場合が多く, 耳鼻咽喉科医に疾患概念が十分理解されているとは言いにくい. また診断にはENG(electronystagmography, 電気眼振計)を用いた温度眼振検査が必要であり, そのため必ずしも正確に診断されていないのが現状であろう. 前庭神経炎という疾患概念は1952年DixとHallpike 1)によって提唱され, その後1956年AschanとStahle 2)がENGを用いた詳細な報告をしている. 本邦では1963年内科医の飯田ら3)が12例を報告したものが最初で, その後徐々に症例が蓄積されてはいるものの依然として病因は不明である. 今回われわれは, 前庭神経炎と確定診断された症例を長期間観察し, 特に自発眼振と温度眼振検査の変化について検討したところ若干の知見を得たので報告する.
ISSN:0030-6622
DOI:10.3950/jibiinkoka.99.306