上咽頭癌の補助化学療法の有効性

「はじめに」上咽頭癌は中国南部, 東南アジア諸国などでは高率に発生することが知られているが, 欧米諸国と同様に我が国での発症頻度は少ない. その治療は, 未分化な扁平上皮癌が多く放射線に感受性が高いことから, 古くから放射線治療が第一選択とされている. 上咽頭癌は初診時に既に多発性の頸部転移のある症例が多く, それに伴って遠隔転移が高率にみられることから, 放射線治療単独での治療成績は不良である. 当科での上咽頭癌の治療方法は, 1983年以前は放射線単独での治療が主体であったが, その治療成績が不良であったことから, 1983年からは, 遠隔転移を抑制して治療成績を向上させる目的から, 放射...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:日本耳鼻咽喉科学会会報 1996-02, Vol.99 (2), p.267-347
Hauptverfasser: 高橋久昭, 鎌田信悦, 川端一嘉, 中溝宗永, 内田正興
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:「はじめに」上咽頭癌は中国南部, 東南アジア諸国などでは高率に発生することが知られているが, 欧米諸国と同様に我が国での発症頻度は少ない. その治療は, 未分化な扁平上皮癌が多く放射線に感受性が高いことから, 古くから放射線治療が第一選択とされている. 上咽頭癌は初診時に既に多発性の頸部転移のある症例が多く, それに伴って遠隔転移が高率にみられることから, 放射線治療単独での治療成績は不良である. 当科での上咽頭癌の治療方法は, 1983年以前は放射線単独での治療が主体であったが, その治療成績が不良であったことから, 1983年からは, 遠隔転移を抑制して治療成績を向上させる目的から, 放射線治療の後にCisplatin (以下, CDDPと略す)を基剤とした補助化学療法を積極的に行ってきた. 今回は補助化学療法施行症例と放射線単独治療症例との治療成績を比較し, その有効性について検討した. 「対象症例と方法」1977年から1991年までの17年間に当科で治療を行った上咽頭癌未治療症例(腺癌・腺様嚢胞癌などは除く)は115例であった.
ISSN:0030-6622
DOI:10.3950/jibiinkoka.99.267