鼻腔に発生した多形腺腫の2症例

「はじめに」耳鼻科領域における多形腺腫は, 大唾液腺, 特に耳下腺, 顎下腺などをその好発部位とし, 小唾液腺の分布する口腔, 口唇, 鼻腔などからの発生は比較的まれなものとされている. 今回我々は, 鼻腔に発生した多形腺腫の2症例を経験したので, その臨床的概要を述べるとともに, 若干の考察を加えて報告する. 「症例」症例1 患者:26歳, 女性 主訴:右鼻閉 既往歴, 家族歴:特記すべき事項はない. 現病歴:平成元年1月頃より右鼻腔内に腫瘤が存在することに気付いていたが, 他に症状がないため放置していた. 平成5年1月頃より鼻閉の増強を自覚し, 同年2月当科初診となった. 初診時所見:右鼻...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:日本耳鼻咽喉科学会会報 1996-01, Vol.99 (1), p.38-121
Hauptverfasser: 若見暁樹, 村岡道徳, 中井義明
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:「はじめに」耳鼻科領域における多形腺腫は, 大唾液腺, 特に耳下腺, 顎下腺などをその好発部位とし, 小唾液腺の分布する口腔, 口唇, 鼻腔などからの発生は比較的まれなものとされている. 今回我々は, 鼻腔に発生した多形腺腫の2症例を経験したので, その臨床的概要を述べるとともに, 若干の考察を加えて報告する. 「症例」症例1 患者:26歳, 女性 主訴:右鼻閉 既往歴, 家族歴:特記すべき事項はない. 現病歴:平成元年1月頃より右鼻腔内に腫瘤が存在することに気付いていたが, 他に症状がないため放置していた. 平成5年1月頃より鼻閉の増強を自覚し, 同年2月当科初診となった. 初診時所見:右鼻背部の腫脹を認め, 前鼻鏡所見にて, 鼻中隔に茎部をもつ, 示指頭大, 弾性硬, 表面平滑な淡赤色の一部血管の怒脹をもつ腫瘤を認めた(図1). 後鼻鏡所見には異常を認めなかった. 単純レントゲン検査:右鼻腔内に腫瘍陰影を認めたほか, 副鼻腔等に異常は認めなかった.
ISSN:0030-6622
DOI:10.3950/jibiinkoka.99.38