味覚障害に対するピコリン酸亜鉛の効果 ―二重盲検法による有効性の検討

「はじめに」味覚障害を主訴とする症例の多くに味蕾レベルの障害があり, 亜鉛内服療法が有効な場合がある. 1976年Henkinら1)は味覚および嗅覚障害のある患者に二重盲検法で硫酸亜鉛投与の効果をみたところ有意の差を認めなかった. 1991年Yoshidaら2)は亜鉛欠乏性, 特発性および薬剤性味覚障害患者などにグルコン酸亜鉛を投与し, 二重盲検法による検定を行い有意の差を認めなかったが, 亜鉛欠乏性および特発性味覚障害患者に限ってみた場合には有意の差が認められたと報告している. またピコリン酸はグルコン酸, クエン酸に比し有意に亜鉛の吸収を促進するとの報告があり3), これらの事実をもとに本...

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Veröffentlicht in:日本耳鼻咽喉科学会会報 1995-07, Vol.98 (7), p.1135-1255
Hauptverfasser: 酒井文隆, 吉田晋也, 遠藤壮平, 冨田寛
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「はじめに」味覚障害を主訴とする症例の多くに味蕾レベルの障害があり, 亜鉛内服療法が有効な場合がある. 1976年Henkinら1)は味覚および嗅覚障害のある患者に二重盲検法で硫酸亜鉛投与の効果をみたところ有意の差を認めなかった. 1991年Yoshidaら2)は亜鉛欠乏性, 特発性および薬剤性味覚障害患者などにグルコン酸亜鉛を投与し, 二重盲検法による検定を行い有意の差を認めなかったが, 亜鉛欠乏性および特発性味覚障害患者に限ってみた場合には有意の差が認められたと報告している. またピコリン酸はグルコン酸, クエン酸に比し有意に亜鉛の吸収を促進するとの報告があり3), これらの事実をもとに本研究では亜鉛欠乏性および特発性味覚障害患者にピコリン酸亜鉛を投与し, その効果の有無を二重盲検法により検討した. 「対象」平成3年7月より平成6年5月までに味覚障害を主訴として日本大学板橋病院耳鼻咽喉科を受診し, 濾紙ディスク法による味覚検査にて味覚障害が認められた患者のうち亜鉛欠乏性もしくは特発性味覚障害と診断された患者89例を対象とした.
ISSN:0030-6622
DOI:10.3950/jibiinkoka.98.1135