受容器型味覚障害の治癒過程に関する研究

「I はじめに」味覚障害の原因は多岐にわたるが, 味覚の受容器である味蕾の機能または形態の障害によると考えられる症例が最も多い. その味蕾の傷害が原因と考えられる受容器型味覚障害の症例の治癒経過を, 支配神経別分割味覚検査, 特に濾紙ディスク法で追ってゆくと, 舌後方領域から軽快してくる症例が多い印象を受ける. しかし現在まで味覚障害の治癒経過に関する報告はない. そこで, 治癒または改善が明らかな味覚障害例を抽出し, 濾紙ディスク法と電気味覚検査で経過を追い得た症例について, 舌の前方(鼓索神経領域)と舌の後方(舌咽神経領域)の味覚閾値の推移を比較検討した. さらに, 舌の部位によって4基本...

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Veröffentlicht in:日本耳鼻咽喉科学会会報 1995-02, Vol.98 (2), p.267-355
Hauptverfasser: 北郷秀人, 冨田寛
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「I はじめに」味覚障害の原因は多岐にわたるが, 味覚の受容器である味蕾の機能または形態の障害によると考えられる症例が最も多い. その味蕾の傷害が原因と考えられる受容器型味覚障害の症例の治癒経過を, 支配神経別分割味覚検査, 特に濾紙ディスク法で追ってゆくと, 舌後方領域から軽快してくる症例が多い印象を受ける. しかし現在まで味覚障害の治癒経過に関する報告はない. そこで, 治癒または改善が明らかな味覚障害例を抽出し, 濾紙ディスク法と電気味覚検査で経過を追い得た症例について, 舌の前方(鼓索神経領域)と舌の後方(舌咽神経領域)の味覚閾値の推移を比較検討した. さらに, 舌の部位によって4基本味の感受性に差があるとする説があるので, 味覚障害が治癒する過程で, 舌の部位によって先行して回復する味質があるかどうか検討した. 「II 対象ならびに方法」1986年より1991年までの6年間に日本人学板橋病院耳鼻咽喉科味覚外来を受診した味蕾の障害が原因と考えられるいわゆる受容器型味覚障害患者のうち, 亜鉛治療が有効であった中等症以上の特発性味覚障害45例, 亜鉛欠乏性味覚障害36例, ならびに薬物性味覚障害38例の計119例であり, 男性50例, 女性69例, 年齢は10歳から89歳, 平均年齢は, 58.7歳であった.
ISSN:0030-6622
DOI:10.3950/jibiinkoka.98.267