上咽頭癌51症例の治療成績
「I. 緒言」上咽頭癌は, 解剖学的条件から技術的に診察が難しく1), またsilent tumor 2)であり発症が遅れ, 低分化型の癌が多いことから進行が早く, さらにウイルス感染による細胞性免疫能が低下している症例もあり, 頭頸部領域の癌の中では予後の悪い疾患の代表である3)4). 今回, 教室の20年間の上咽頭癌症例の治療成績を検討したところ他の施設の報告に比べてやや良好な結果が得られたが, 当科における喉頭癌や上顎洞癌の成績には及ばなかった. 上顎洞癌はかつて本疾患と同様に予後の悪い疾患であったが治療法の改善により最近では喉頭癌に匹敵する治療成果が得られている5). 本疾患においても...
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Veröffentlicht in: | 日本耳鼻咽喉科学会会報 1993-09, Vol.96 (9), p.1438-1575 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 「I. 緒言」上咽頭癌は, 解剖学的条件から技術的に診察が難しく1), またsilent tumor 2)であり発症が遅れ, 低分化型の癌が多いことから進行が早く, さらにウイルス感染による細胞性免疫能が低下している症例もあり, 頭頸部領域の癌の中では予後の悪い疾患の代表である3)4). 今回, 教室の20年間の上咽頭癌症例の治療成績を検討したところ他の施設の報告に比べてやや良好な結果が得られたが, 当科における喉頭癌や上顎洞癌の成績には及ばなかった. 上顎洞癌はかつて本疾患と同様に予後の悪い疾患であったが治療法の改善により最近では喉頭癌に匹敵する治療成果が得られている5). 本疾患においても, 治療成績の一層の向上は過去のデータを解析し取捨選択の積み重ねの上に成りたつと考え, ここに分析した結果を報告する. 「II. 対象と方法」対象は1971年7月から1991年6月までの20年間に当科の腫瘍外来を受診した上咽頭扁平上皮癌51症例で, 年齢は16歳から74歳で平均47±15歳, 男性38例, 女性13例である. |
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ISSN: | 0030-6622 |
DOI: | 10.3950/jibiinkoka.96.1438 |