嚥下機能からみた骨棘形成と咽喉頭異常感との関連

「1. 緒言」脊椎椎体前縁に形成される異常骨増殖(以下骨棘と記す)は, 脊椎の中でも頸椎に好発し咽喉頭異常感, 嚥下痛, 嗄声, 更には嚥下障害や呼吸困難の原因と成り得ることが報告されている1). こうした骨棘形成を認める疾患としては, 変形性頸椎症, 強直性靱帯骨化症(Forestier病), 強直性脊椎炎, 外傷後の骨新生, 先天性骨棘などが上げられる. この内Forestier病は, 嚥下障害を呈する疾患の1つとして広く耳鼻咽喉科領域で知られているが, 嚥下障害を訴える重症例はまれである. しかし, 嚥下障害を呈する以前に咽喉頭異常感(以下異常感と記す)を自覚していることがほとんどであっ...

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Veröffentlicht in:日本耳鼻咽喉科学会会報 1993-03, Vol.96 (3), p.379-543
Hauptverfasser: 大前由紀雄, 井上鐵三, 北原哲
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「1. 緒言」脊椎椎体前縁に形成される異常骨増殖(以下骨棘と記す)は, 脊椎の中でも頸椎に好発し咽喉頭異常感, 嚥下痛, 嗄声, 更には嚥下障害や呼吸困難の原因と成り得ることが報告されている1). こうした骨棘形成を認める疾患としては, 変形性頸椎症, 強直性靱帯骨化症(Forestier病), 強直性脊椎炎, 外傷後の骨新生, 先天性骨棘などが上げられる. この内Forestier病は, 嚥下障害を呈する疾患の1つとして広く耳鼻咽喉科領域で知られているが, 嚥下障害を訴える重症例はまれである. しかし, 嚥下障害を呈する以前に咽喉頭異常感(以下異常感と記す)を自覚していることがほとんどであったり2), 異常感を訴える症例の10-40%にX線学的な頸椎異常を認めると報告されている3). 従って, 骨棘が嚥下機能になんらかの影響を与えている可能性が示唆されるが, 嚥下障害を呈した重症例以外の嚥下機能はほとんど検討されていない.
ISSN:0030-6622
DOI:10.3950/jibiinkoka.96.379