耳鼻咽喉科領域におけるC. trachomatis感染症についての検討(症例並びに血清疫学的検討)

「はじめに」Chlamydia trachomatis(以下C. trachomatis)は古くはトラコーマと鼠径リンパ肉芽腫の病原体として知られ, 近年においてはSTD(性行為感染症)の原因微生物の中で頻度の高いものとして注目されるようになった. また, 母児間垂直感染による無熱性肺炎の原因としても知られている1). 近年, 性風俗の変化が本来性器に限局する病原体の口腔, 咽頭への伝播をもたらし耳鼻咽喉科領域でも1967年Dawsonら2)の報告をはじめ, 本邦においても, 扁桃炎3), 上頸部リンパ節炎4), 滲出性中耳炎の中耳内貯留液からの検出5)などが報告されている. 著者らは血清学的...

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Veröffentlicht in:日本耳鼻咽喉科学会会報 1993-03, Vol.96 (3), p.371-543
Hauptverfasser: 河合晃充, 佐藤幸弘, 山本英一, 折田洋造, 岸本寿男, 木村雅司
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「はじめに」Chlamydia trachomatis(以下C. trachomatis)は古くはトラコーマと鼠径リンパ肉芽腫の病原体として知られ, 近年においてはSTD(性行為感染症)の原因微生物の中で頻度の高いものとして注目されるようになった. また, 母児間垂直感染による無熱性肺炎の原因としても知られている1). 近年, 性風俗の変化が本来性器に限局する病原体の口腔, 咽頭への伝播をもたらし耳鼻咽喉科領域でも1967年Dawsonら2)の報告をはじめ, 本邦においても, 扁桃炎3), 上頸部リンパ節炎4), 滲出性中耳炎の中耳内貯留液からの検出5)などが報告されている. 著者らは血清学的検査でMFA法(microplate immunofluorescence antibody technique)6)7)にてIgG, IgA, IgMの抗体価上昇, 咽頭擦過材料のMicroTrak(R)(Syva社)によるDFA(直接蛍光抗体)法陽性, 分離培養法によるC. trachomatisの証明に加え, 咽頭側索の生検組織内からもMicroTrak(R)にてC. trachomatis封入体を証明し得た症例を経験したので報告する.
ISSN:0030-6622