顔面神経減荷術後の感音難聴

「1. はじめに」 中耳や顔面神経麻痺に対する手術操作が, 内耳障害を発生させるとする多くの報告がある. このような手術後感音難聴の発生原因として1)手術操作による炎症の内耳波及, 2)手術時に用いた消毒剤, 3)局所麻酔剤, 4)バー, ノミによる外力, 5)中耳腔に入れた人工耳小骨等の異物反応又は圧迫, 6)ガーゼによる圧迫, 7)術後感染などがある. 今回著者らは, 上記原因のうち特にバー, ノミの使用による内耳への影響を, 垂直部に限られた顔面神経減荷術を行った症例を対象に検討した. 「2. 対象及び方法」 1985年3月より1989年10月まで, 当教室で行った経乳突法により顔面神経...

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Veröffentlicht in:日本耳鼻咽喉科学会会報 1990-05, Vol.93 (5), p.716-869
Hauptverfasser: 小川和昭, 渡辺荘郁, 岩淵康雄, 原口兼明, 広田常治, 昇卓夫, 大山勝
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「1. はじめに」 中耳や顔面神経麻痺に対する手術操作が, 内耳障害を発生させるとする多くの報告がある. このような手術後感音難聴の発生原因として1)手術操作による炎症の内耳波及, 2)手術時に用いた消毒剤, 3)局所麻酔剤, 4)バー, ノミによる外力, 5)中耳腔に入れた人工耳小骨等の異物反応又は圧迫, 6)ガーゼによる圧迫, 7)術後感染などがある. 今回著者らは, 上記原因のうち特にバー, ノミの使用による内耳への影響を, 垂直部に限られた顔面神経減荷術を行った症例を対象に検討した. 「2. 対象及び方法」 1985年3月より1989年10月まで, 当教室で行った経乳突法により顔面神経の垂直部のみを開放した症例9例を対象とした. 今回著者らは, 真珠腫による内耳瘻孔がなく, 真珠腫や炎症性肉芽の除去に伴う中耳操作がなく, しかもバーやノミによる耳小骨接触の可能性の低い垂直部に限局した顔面神経減荷術施行例を対象に選ぶことで, バーやノミの使用時に発生する騒音が果たして内耳障害を来し得るのかを検討することを企図した.
ISSN:0030-6622