顔面神経麻痺症例の鼻腔通気度

「はじめに」 鼻に分布する交感神経は第1胸髄から第3胸髄に発し, 頸部交感神経幹に入る. 上頸神経節で節後線維にかわり深錐体神経として大錐体神経と合流して翼口蓋神経節を通る. 他の一部は頸動脈周囲を通って動脈と共に鼻粘膜に直接侵入し分布する. 一方副交感神経は延髄の上唾液核に発し, 顔面神経の中間神経を通り, 膝神経節を経て大錐体神経となる. 翼口蓋神経節でニューロンを変え節後線維として鼻粘膜及び涙腺へと分布する(図1)1). したがって顔面神経麻痺で涙液分泌低下をみる場合は鼻粘膜に対しては副交感神経節前線維の遮断を来したものと思われる. 鼻粘膜は安静時においても腫脹, 収縮が左右交互に起こる...

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Veröffentlicht in:日本耳鼻咽喉科学会会報 1989-08, Vol.92 (8), p.1259-1335
Hauptverfasser: 石井純子, 鍋島みどり, 久喜まき子, 永末裕子, 石井哲夫
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「はじめに」 鼻に分布する交感神経は第1胸髄から第3胸髄に発し, 頸部交感神経幹に入る. 上頸神経節で節後線維にかわり深錐体神経として大錐体神経と合流して翼口蓋神経節を通る. 他の一部は頸動脈周囲を通って動脈と共に鼻粘膜に直接侵入し分布する. 一方副交感神経は延髄の上唾液核に発し, 顔面神経の中間神経を通り, 膝神経節を経て大錐体神経となる. 翼口蓋神経節でニューロンを変え節後線維として鼻粘膜及び涙腺へと分布する(図1)1). したがって顔面神経麻痺で涙液分泌低下をみる場合は鼻粘膜に対しては副交感神経節前線維の遮断を来したものと思われる. 鼻粘膜は安静時においても腫脹, 収縮が左右交互に起こる. Kayser2)はこれをnasal cycleと名づけた. この経時的な鼻粘膜の変化を調節しているのは交感神経かあるいは副交感神経なのか明確にされていない. 今回われわれは顔面神経麻痺症例27例に対し鼻腔通気度検査を行いnasal cycleの有無をみた.
ISSN:0030-6622