副鼻腔の気流動態に関する実験的研究―エアロゾル療法の基礎的検討

「I. はじめに」 エアロゾル療法では, 有効充分量の薬液粒子が標的器官に到達することが重要である. しかしながら, 副鼻腔炎におけるそれは, エアロゾル到達のルートが, 鼻腔を含めた解剖学的構築の複雑さおよび中鼻道ひいては上顎洞自然孔の狭窄や閉塞をしばしば伴うこととあいまって, 吸入エアロゾルが上顎洞に流入しにくい状態にある. このような病態に対しては, エアロゾル療法を行う前に, 観血的療法を含む何らかの前処置を行うことによって, 中鼻道ならびに自然孔を開大しておかなければならない. 加えて, 副鼻腔における気流動態は, 鼻腔におけるそれと同様, エアロゾル療法に際して粒子の流入, 沈着に...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:日本耳鼻咽喉科学会会報 1989-07, Vol.92 (7), p.1070-1181
Hauptverfasser: 前山拓夫, 渡辺荘郁, 原口兼明, 岩渕康則, 鰺坂孝二, 大山勝, 野崎勉, 中西賢二
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:「I. はじめに」 エアロゾル療法では, 有効充分量の薬液粒子が標的器官に到達することが重要である. しかしながら, 副鼻腔炎におけるそれは, エアロゾル到達のルートが, 鼻腔を含めた解剖学的構築の複雑さおよび中鼻道ひいては上顎洞自然孔の狭窄や閉塞をしばしば伴うこととあいまって, 吸入エアロゾルが上顎洞に流入しにくい状態にある. このような病態に対しては, エアロゾル療法を行う前に, 観血的療法を含む何らかの前処置を行うことによって, 中鼻道ならびに自然孔を開大しておかなければならない. 加えて, 副鼻腔における気流動態は, 鼻腔におけるそれと同様, エアロゾル療法に際して粒子の流入, 沈着に関与し, その効果を期待するためには不可欠の重要な問題と思われる. 今回, 鼻・副鼻腔モデルを作製し, 従来必ずしも十分明らかでなかった副鼻腔内の気流動態を, 最新の機器であるレーザー・ドップラー流速計(Laser Doppler Anemometer:LDA)を使って計測し, 若干の興味ある新知見を得ることが出来た.
ISSN:0030-6622