伝染性単核症95例の耳鼻咽喉科的所見

「I 緒言」伝染性単核症infectious mononucleosis(IM)は, Epstein-Barr Virus(EBV)初感染による全身性の病変である. 臨床的には, 咽頭痛と発熱を主訴とするPharyngeal typeがIMの78%を占め, 表1に示す有名なEvansの診断基準の中にも頸部リンパ節腫脹, 咽頭炎, 口蓋点状出血, 腐敗性口臭, 膜性扁桃炎などの耳鼻咽喉科的所見の記載がみられる. 我々がここ数年間に経験したIMの耳鼻咽喉科的所見について報告する. 「II 対象」昭和56年8月から61年5月までに我々が経験した95例を対象とした. IMの診断は下記に示す診断基準によ...

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Veröffentlicht in:日本耳鼻咽喉科学会会報 1987-06, Vol.90 (6), p.844-852
Hauptverfasser: 石崎文雄, 岡部英子, 新井景子, 浅野公子, 浅賀英世, 藤枝伊都子, 小倉脩二, 岡本途也
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「I 緒言」伝染性単核症infectious mononucleosis(IM)は, Epstein-Barr Virus(EBV)初感染による全身性の病変である. 臨床的には, 咽頭痛と発熱を主訴とするPharyngeal typeがIMの78%を占め, 表1に示す有名なEvansの診断基準の中にも頸部リンパ節腫脹, 咽頭炎, 口蓋点状出血, 腐敗性口臭, 膜性扁桃炎などの耳鼻咽喉科的所見の記載がみられる. 我々がここ数年間に経験したIMの耳鼻咽喉科的所見について報告する. 「II 対象」昭和56年8月から61年5月までに我々が経験した95例を対象とした. IMの診断は下記に示す診断基準によった. (1)異型リンパ球10%以上出現 (2)異型リンパ球出現+肝機能異常 (3)異型リンパ球出現+Paul-Bunnell反応陽性, この(1)~(3)のうち1つ以上を満たしたものをIMとする. この基準は本邦のIMでは, Paul-Bunnell反応が陽性を示しにくいことや異型リンパ球の出現率が低い例がしばしばみられることなどを考慮し, 我々が独自に設けた基準であるが, この基準でIMと診断した95例のうち EBV抗体価を測定しえた47例中40例がHenleのEBV初感染の基準を満たしており, 適切な基準であると考える.
ISSN:0030-6622