P2-072  アトピー性皮膚炎の表皮におけるp63依存性TSLP-TSLP受容体経路

アトピー性皮膚炎は本邦の小児の約1割が罹患し,罹患者の生活の質を著しく低下させる.さらにアトピー性皮膚炎自体が気管支喘息やアレルギー性結膜炎など種々の慢性アレルギー疾患の根底にある可能性が分子免疫学的にも支持されつつあり,その病態の機序の解明が急がれている. 近年,アトピー性皮膚炎の患部のケラチノサイトがthymic stromal lymphopoietin(TSLP)を高産生することが明らかとなった.TSLPはTSLP受容体(TSLPR)を発現する樹状細胞を介してTh0細胞をTh2細胞へと分化させることで,アトピー・アレルギー疾患の病態形成に中心的役割を果たすと考えられている. 我々は今回...

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Veröffentlicht in:日本臨床免疫学会会誌 2012, Vol.35(4), pp.362b-362b
Hauptverfasser: 久保, 輝文, 叶, 汭, 三橋, 由佳梨, 山下, 恵司, 佐藤, 明紀, 小島, 隆, 佐藤, 昇志, 一宮, 慎吾
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:アトピー性皮膚炎は本邦の小児の約1割が罹患し,罹患者の生活の質を著しく低下させる.さらにアトピー性皮膚炎自体が気管支喘息やアレルギー性結膜炎など種々の慢性アレルギー疾患の根底にある可能性が分子免疫学的にも支持されつつあり,その病態の機序の解明が急がれている. 近年,アトピー性皮膚炎の患部のケラチノサイトがthymic stromal lymphopoietin(TSLP)を高産生することが明らかとなった.TSLPはTSLP受容体(TSLPR)を発現する樹状細胞を介してTh0細胞をTh2細胞へと分化させることで,アトピー・アレルギー疾患の病態形成に中心的役割を果たすと考えられている. 我々は今回,表皮ケラチノサイトにおけるTSLPRの発現を明らかとした.また,表皮ケラチノサイト初代培養細胞および表皮モデルHaCaT細胞を用いた検討において,TSLPRの発現は表皮幹細胞因子p63を介した自然免疫経路によって制御されていた.興味深いことに表皮に対するTSLP刺激は更なるTSLP産生を惹起し,その他の炎症性サイトカインの発現も促進していた.これらの結果からTSLPはオートクラインあるいはパラクラインによってケラチノサイト自身にも作用するループを形成し,アトピー性皮膚炎患部表皮の炎症環境の形成,維持に関与していると考えられる.
ISSN:0911-4300
1349-7413
DOI:10.2177/jsci.35.362b