母体の腸回転異常症を背景とした妊娠中の腸閉塞により肝機能障害を来した一例

妊娠中の肝機能障害では様々な原因を鑑別する必要がある.今回,妊娠中の肝機能障害を契機に紹介され,母体の腸回転異常症による腸閉塞と診断した症例を経験した.症例は27歳,1妊0産.自然妊娠し,前医で妊娠管理されていた.妊娠30週から嘔気と食思不振を認め,妊娠31週から33週の間に体重が5kg減少した.肝機能異常を指摘され,妊娠33週5日に当院へ紹介された.母体の超音波検査で上部消化管の拡張を認め,造影CTを行った.肝臓に異常はなく,母体の腸回転異常症,腸管捻転と腸閉塞を認めた.腸管の絞扼は認めず,経静脈栄養と経鼻胃管で症状と肝機能障害は改善したが,本人の苦痛が強くなり妊娠35週3日に帝王切開術を行...

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Veröffentlicht in:日本周産期・新生児医学会雑誌 2024, Vol.60(2), pp.256-260
Hauptverfasser: 今田, 綾香, 渡邉, 憲和, 阿部, 夏未, 佐藤, 藍, 中井, 奈々子, 山内, 敬子, 永瀬, 智
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:妊娠中の肝機能障害では様々な原因を鑑別する必要がある.今回,妊娠中の肝機能障害を契機に紹介され,母体の腸回転異常症による腸閉塞と診断した症例を経験した.症例は27歳,1妊0産.自然妊娠し,前医で妊娠管理されていた.妊娠30週から嘔気と食思不振を認め,妊娠31週から33週の間に体重が5kg減少した.肝機能異常を指摘され,妊娠33週5日に当院へ紹介された.母体の超音波検査で上部消化管の拡張を認め,造影CTを行った.肝臓に異常はなく,母体の腸回転異常症,腸管捻転と腸閉塞を認めた.腸管の絞扼は認めず,経静脈栄養と経鼻胃管で症状と肝機能障害は改善したが,本人の苦痛が強くなり妊娠35週3日に帝王切開術を行った.本症例は母体の腸回転異常症を背景とし,妊娠子宮による腸管圧排を契機として中腸軸捻転を来した結果,低栄養状態が持続し肝機能障害を生じたと考えられた.
ISSN:1348-964X
2435-4996
DOI:10.34456/jjspnm.60.2_256