出生前診断されたタナトフォリック骨異形成症の1例と日本国内報告例の包括的検討

タナトフォリック骨異形成症は重篤な骨系統疾患であるが,近年では積極的な呼吸管理により長期生存例も報告され,必ずしも周産期致死性ではないと認識されている.しかし,本疾患の診療に関わるコンセンサスガイドラインはなく,各施設で症例の重症度や社会的背景を考慮した医療が提供されている.今回,我々は多職種のスタッフが家族との関係性を築きながら,胎児期から亡くなる生後5カ月まで診療したタナトフォリック骨異形成症症例を経験した.日本における本疾患の症例報告を調査した結果,遺伝学的知識や経験を有する臨床遺伝専門医が関与した症例では,出生後に積極的治療が実施される割合が高くなる傾向があることがわかった.また,積極...

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Veröffentlicht in:日本周産期・新生児医学会雑誌 2023, Vol.59(3), pp.397-402
Hauptverfasser: 衛藤, 恵理子, 井上, 真紀, 関口, 和人, 前田, 知己, 井原, 健二
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:タナトフォリック骨異形成症は重篤な骨系統疾患であるが,近年では積極的な呼吸管理により長期生存例も報告され,必ずしも周産期致死性ではないと認識されている.しかし,本疾患の診療に関わるコンセンサスガイドラインはなく,各施設で症例の重症度や社会的背景を考慮した医療が提供されている.今回,我々は多職種のスタッフが家族との関係性を築きながら,胎児期から亡くなる生後5カ月まで診療したタナトフォリック骨異形成症症例を経験した.日本における本疾患の症例報告を調査した結果,遺伝学的知識や経験を有する臨床遺伝専門医が関与した症例では,出生後に積極的治療が実施される割合が高くなる傾向があることがわかった.また,積極的治療が実施された症例では少なくとも3カ月以上の生存期間が確認された.標準的な診療指針がないタナトフォリック骨異形成症では,患者とその家族に対して正確な医学的情報の提供と精神面のサポート体制が重要と思われた.
ISSN:1348-964X
2435-4996
DOI:10.34456/jjspnm.59.3_397