妊娠34週に血圧上昇なく心不全を突然発症した褐色細胞腫によるカテコラミン心筋症の一例

褐色細胞腫によるカテコラミン心筋症は,周産期心筋症と鑑別困難な難治性心不全を来すことがあり一般的に高血圧を伴う.今回血圧上昇なく心不全を突然発症した症例を経験した. 症例:36歳,G2P0,既往歴.妊娠34週に嘔吐と左背部痛を主訴に外来受診.血圧は107/88mmHgと正常.277mg/dLの高血糖を認め,生食補液を行ったところ呼吸不全を突然生じ,母体救命目的で緊急帝王切開術を施行.術後にLVEF15%の心機能低下と左副腎腫瘍が偶発的に判明し周産期心筋症,褐色細胞腫疑いと診断.抗PRL療法,経皮的補助人工心臓(IMPELLA)を用いた集中治療により急性期を脱し,産後3カ月で左副腎腫瘍摘出術を施...

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Veröffentlicht in:日本周産期・新生児医学会雑誌 2023, Vol.59(2), pp.256-260
Hauptverfasser: 森岡, 将来, 村越, 毅, 伊賀, 健太朗, 今野, 寛子
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:褐色細胞腫によるカテコラミン心筋症は,周産期心筋症と鑑別困難な難治性心不全を来すことがあり一般的に高血圧を伴う.今回血圧上昇なく心不全を突然発症した症例を経験した. 症例:36歳,G2P0,既往歴.妊娠34週に嘔吐と左背部痛を主訴に外来受診.血圧は107/88mmHgと正常.277mg/dLの高血糖を認め,生食補液を行ったところ呼吸不全を突然生じ,母体救命目的で緊急帝王切開術を施行.術後にLVEF15%の心機能低下と左副腎腫瘍が偶発的に判明し周産期心筋症,褐色細胞腫疑いと診断.抗PRL療法,経皮的補助人工心臓(IMPELLA)を用いた集中治療により急性期を脱し,産後3カ月で左副腎腫瘍摘出術を施行し褐色細胞腫と確定診断した.母児とも後遺症なく経過し,産後1年半で次子の妊娠を許可した. 結語:褐色細胞腫による心筋症の症状は多彩で,典型症状をすべて認めなくとも心不全を認めた際に鑑別に挙げることで,根治術に繋がり予後改善に寄与すると考えられた.
ISSN:1348-964X
2435-4996
DOI:10.34456/jjspnm.59.2_256