気管無形成の臨床経過と診断に向けた検査方法の検討

気管無形成は,出生直後から重篤な呼吸不全をきたす稀な疾患である.今回,気管無形成の臨床経過と診断過程について報告する. 症例は,在胎32週4日に体重1,686gで出生した男児.出生時に啼泣を伴わない努力様の呼吸運動があった.喉頭に声帯構造がなかったため,気管チューブを食道内に留置し陽圧換気を行うとチアノーゼは改善した.出生時の特異的臨床症状から気管無形成が疑われた.内視鏡検査では瘻孔を介して気管が描出でき,気管無形成と診断した.CT検査ではFloyd分類I型であることと多系統に及ぶ合併奇形がないことを確認した.検査後,心肺機能不全で死亡した. 気管無形成は臨床所見から本疾患を疑い内視鏡検査やC...

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Veröffentlicht in:日本周産期・新生児医学会雑誌 2023, Vol.59(1), pp.98-105
Hauptverfasser: 藤原, 弘之, 渡邊, 大輔, 小泉, 敬一, 糸山, 綾, 篠原, 珠緒, 前林, 祐樹, 長谷部, 洋平, 齋藤, 朋洋, 根本, 篤, 大矢知, 昇, 内藤, 敦
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:気管無形成は,出生直後から重篤な呼吸不全をきたす稀な疾患である.今回,気管無形成の臨床経過と診断過程について報告する. 症例は,在胎32週4日に体重1,686gで出生した男児.出生時に啼泣を伴わない努力様の呼吸運動があった.喉頭に声帯構造がなかったため,気管チューブを食道内に留置し陽圧換気を行うとチアノーゼは改善した.出生時の特異的臨床症状から気管無形成が疑われた.内視鏡検査では瘻孔を介して気管が描出でき,気管無形成と診断した.CT検査ではFloyd分類I型であることと多系統に及ぶ合併奇形がないことを確認した.検査後,心肺機能不全で死亡した. 気管無形成は臨床所見から本疾患を疑い内視鏡検査やCT検査で迅速に診断し治療へ繋げる必要がある.本疾患は胎児診断されず出生する可能性があるため,各分娩取り扱い施設が臨床所見を再認識し,本疾患が出生した際の診療シミュレーションを行っておくことが重要である.
ISSN:1348-964X
2435-4996
DOI:10.34456/jjspnm.59.1_98