新生児医療とエピジェネティクス ~早産児・低出生体重児におけるエピゲノム異常とその長期遺残

「DOHaDと新生児領域における世界のエピジェネティクス研究」イギリスの疫学者のBarker博士は1980年前後に, 低出生体重児が成人後に虚血性心疾患での死亡や2型糖尿病の発症が多いことを報告した. 後にBarker仮説, 成人病胎児起源説, 子宮内胎児プログラミング説とよばれるものである. 2000年代以降, Barker仮説はDOHaD仮説に発展される. DOHaD仮説の基本の概念は"developmental plasticity"である. この"plasticity"という言葉は, 日本語では可塑性などと訳されるのだが, 「plasticな性質...

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Veröffentlicht in:日本周産期・新生児医学会雑誌 2023, Vol.58 (4), p.623-626
1. Verfasser: 鹿嶋晃平
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「DOHaDと新生児領域における世界のエピジェネティクス研究」イギリスの疫学者のBarker博士は1980年前後に, 低出生体重児が成人後に虚血性心疾患での死亡や2型糖尿病の発症が多いことを報告した. 後にBarker仮説, 成人病胎児起源説, 子宮内胎児プログラミング説とよばれるものである. 2000年代以降, Barker仮説はDOHaD仮説に発展される. DOHaD仮説の基本の概念は"developmental plasticity"である. この"plasticity"という言葉は, 日本語では可塑性などと訳されるのだが, 「plasticな性質」つまり「型どりの間は変化するが, 型どりが終わると固まってしまう性質. 可変的ではある」ともいえる. Barker仮説がDOHaD仮説に発展して, 大きく変ったことの一つは胎児期が主な対象だったものが生後の新生児期・幼児期も含まれるようになったことである. そしてもう一つは, 生活習慣病が主な対象だったものが, アレルギー疾患・骨粗鬆症・精神疾患・炎症性腸疾患・悪性腫瘍など疾患全般に広がったことである.
ISSN:1348-964X
DOI:10.34456/jjspnm.58.4_623