分娩時母子感染予防の重要性 〜基質拡張型βラクタマーゼ産生大腸菌による新生児の重症細菌性髄膜炎の経験から

我々は分娩時の垂直感染によると考えられた基質拡張型βラクタマーゼ(extended spectrum beta-lactamase:ESBL)産生大腸菌による新生児重症細菌性髄膜炎症例を経験した.症例は在胎36週2日にB群溶血性連鎖球菌(Group B Streptococcus:GBS)培養検査未実施の妊婦より前期破水後4日目に出生した.出生時の血液培養検査からESBL産生大腸菌が検出され,同菌による細菌性髄膜炎と診断され治療を要した. 全国的に妊婦のGBS検出を目的とした腟分泌物培養検査および母子感染予防は行われているが,そのほか薬剤耐性菌を対象とした検査を行っているという報告は少なく,そ...

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Veröffentlicht in:日本周産期・新生児医学会雑誌 2022, Vol.58(2), pp.407-413
Hauptverfasser: 長谷川, 良実, 遠藤, 方哉, 大野, 菜, 松尾, 知世, 内田, 絵梨, 川野, 藍子, 荒田, 与志子, 中村, 朋美
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:我々は分娩時の垂直感染によると考えられた基質拡張型βラクタマーゼ(extended spectrum beta-lactamase:ESBL)産生大腸菌による新生児重症細菌性髄膜炎症例を経験した.症例は在胎36週2日にB群溶血性連鎖球菌(Group B Streptococcus:GBS)培養検査未実施の妊婦より前期破水後4日目に出生した.出生時の血液培養検査からESBL産生大腸菌が検出され,同菌による細菌性髄膜炎と診断され治療を要した. 全国的に妊婦のGBS検出を目的とした腟分泌物培養検査および母子感染予防は行われているが,そのほか薬剤耐性菌を対象とした検査を行っているという報告は少なく,その母子感染予防に確立した方法はない.新生児髄膜炎の予後は不良であり,特に大腸菌による髄膜炎は脳室炎,脳浮腫などを合併し,神経学的後遺症を残す頻度が高い. ESBL産生大腸菌の増加に伴い,今後その垂直感染のリスクも増加すると推測され,感染リスクに応じた検査方法,分娩時の管理方法を検討する必要性があると考えられた.
ISSN:1348-964X
2435-4996
DOI:10.34456/jjspnm.58.2_407