妊娠悪阻の入院管理中に,Klebsiella oxytocaによる敗血症をきたした1例

つわりは,妊娠初期に悪心,嘔吐,食欲不振などの消化器症状を主症状として妊婦の50〜80%に生じるといわれており,妊娠12〜16週頃までに自然軽快することが多いが,症状が悪化して脱水や栄養障害,代謝障害を認めた場合には,妊娠悪阻という治療が必要な病状となる. 今回,妊娠悪阻の入院管理中にBacterial translocationによるKlebsiella oxytocaを起炎菌とした敗血症を経験した.Bacterial translocationは腸管内の常在細菌が粘膜バリアを通過して体内に移行する状態をいい,長期間の経管栄養による栄養不良状態や,腸閉塞,免疫能の低下,腸粘膜萎縮などの基礎疾...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:日本周産期・新生児医学会雑誌 2022, Vol.58(2), pp.364-368
Hauptverfasser: 内芝, 舞実, 八木, 重孝
Format: Artikel
Sprache:jpn
Schlagworte:
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:つわりは,妊娠初期に悪心,嘔吐,食欲不振などの消化器症状を主症状として妊婦の50〜80%に生じるといわれており,妊娠12〜16週頃までに自然軽快することが多いが,症状が悪化して脱水や栄養障害,代謝障害を認めた場合には,妊娠悪阻という治療が必要な病状となる. 今回,妊娠悪阻の入院管理中にBacterial translocationによるKlebsiella oxytocaを起炎菌とした敗血症を経験した.Bacterial translocationは腸管内の常在細菌が粘膜バリアを通過して体内に移行する状態をいい,長期間の経管栄養による栄養不良状態や,腸閉塞,免疫能の低下,腸粘膜萎縮などの基礎疾患を有する患者に生じ易いといわれている.妊娠初期に敗血症を発症する症例は少ないが,本症例では敗血症の早期診断,早期治療介入によって母児ともに救命し得たため報告する.
ISSN:1348-964X
2435-4996
DOI:10.34456/jjspnm.58.2_364