極長鎖アシルCoA脱水素酵素欠損症 (骨格筋型) 合併妊娠の一例
「概要」 先天性の脂肪酸代謝異常である極長鎖アシルCoA脱水素酵素(VLCAD)欠損症の骨格筋型は, 絶食や激しい運動などの異化亢進状態において筋痛・筋力低下と横紋筋融解症を容易にきたす疾患である. 本疾患患者の妊娠・分娩に関する報告は少なく, その管理については明らかではない. 今回, われわれは骨格筋型VLCAD欠損症の患者の妊娠・分娩管理を行ったので報告する. 症例は27歳の未妊婦で, 25歳時, 虫垂炎の手術後に横紋筋融解症を発症した既往があった. 妊娠初期は妊娠悪阻に対しブドウ糖を含む輸液治療を行い, 筋痛や筋力低下などの症状の出現はなかった. 妊娠39週4日, 陣痛発来による入院時...
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Veröffentlicht in: | 日本周産期・新生児医学会雑誌 2021-05, Vol.57 (1), p.205-208 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 「概要」 先天性の脂肪酸代謝異常である極長鎖アシルCoA脱水素酵素(VLCAD)欠損症の骨格筋型は, 絶食や激しい運動などの異化亢進状態において筋痛・筋力低下と横紋筋融解症を容易にきたす疾患である. 本疾患患者の妊娠・分娩に関する報告は少なく, その管理については明らかではない. 今回, われわれは骨格筋型VLCAD欠損症の患者の妊娠・分娩管理を行ったので報告する. 症例は27歳の未妊婦で, 25歳時, 虫垂炎の手術後に横紋筋融解症を発症した既往があった. 妊娠初期は妊娠悪阻に対しブドウ糖を含む輸液治療を行い, 筋痛や筋力低下などの症状の出現はなかった. 妊娠39週4日, 陣痛発来による入院時から5%ブドウ糖液の持続輸液を開始し, 自然経腟分娩となった3日後まで継続した. 分娩当日にクレアチンキナーゼ値の軽度上昇を認めたものの筋痛や筋力低下は出現しなかった. ブドウ糖液等の適切な投与により, 症状の出現なく妊娠・分娩・児の養育が可能であることが示唆された. |
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ISSN: | 1348-964X |