妊娠36週に発症し母児共に救命し得たくも膜下出血の1例

妊娠中のくも膜下出血は非常に稀ではあるが母体死亡率が高い救急疾患である.母児共に救命し得たくも膜下出血の症例を経験したので報告する.症例は32歳,1妊0産.妊娠36週4日に突然の強い頭痛を自覚して救急搬送された.頭部CT等の画像検査で左内頸動脈-後交通動脈分岐部の脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血と診断した.意識障害はなくバイタルサインが安定しており,妊娠週数から胎児の胎外生活は十分可能と判断されたため,児娩出後にくも膜下出血の治療を行う方針として,緊急帝王切開術に引き続き脳動脈瘤コイル塞栓術を施行した.妊娠中のくも膜下出血の治療は母体救命が最優先であるが,くも膜下出血の重症度や妊娠週数に応じて脳...

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Veröffentlicht in:日本周産期・新生児医学会雑誌 2020, Vol.56(3), pp.482-486
Hauptverfasser: 安藤, 真理子, 吉田, 優, 嶋田, 幸世, 一宮, 真梨子, 遠城, 幸子, 西田, 眞
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:妊娠中のくも膜下出血は非常に稀ではあるが母体死亡率が高い救急疾患である.母児共に救命し得たくも膜下出血の症例を経験したので報告する.症例は32歳,1妊0産.妊娠36週4日に突然の強い頭痛を自覚して救急搬送された.頭部CT等の画像検査で左内頸動脈-後交通動脈分岐部の脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血と診断した.意識障害はなくバイタルサインが安定しており,妊娠週数から胎児の胎外生活は十分可能と判断されたため,児娩出後にくも膜下出血の治療を行う方針として,緊急帝王切開術に引き続き脳動脈瘤コイル塞栓術を施行した.妊娠中のくも膜下出血の治療は母体救命が最優先であるが,くも膜下出血の重症度や妊娠週数に応じて脳外科的治療の適応,妊娠帰結の適否,治療の優先度等を判断して,個別化した治療方針を迅速に決定することが重要である.的確かつ速やかな対応が母児の予後を改善させることにつながると考えられた.
ISSN:1348-964X
2435-4996
DOI:10.34456/jjspnm.56.3_482