子宮筋腫による後屈妊娠子宮嵌頓症の一例

後屈妊娠子宮嵌頓症は,子宮底が後屈したまま妊娠子宮が発育し,骨盤腔に嵌頓した状態のことである.時には妊娠末期まで持続することが報告されている.後屈妊娠子宮嵌頓症は極めて稀であるが,妊娠中に診断されないまま分娩を迎えると様々な合併症を引き起こす.そのため,早期診断が肝要である.今回,子宮底の筋腫による後屈妊娠子宮嵌頓症の1例を経験したので報告する.患者は37歳,初産婦.10cm大の子宮筋腫合併妊娠のためハイリスク妊娠と判断され当院に紹介された.初診時,ダグラス窩に硬い腫瘤を触知し,腟鏡診で子宮口が確認できなかった.子宮口が確認できないことで子宮筋腫による子宮の位置異常を疑った.妊娠20週で骨盤M...

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Veröffentlicht in:日本周産期・新生児医学会雑誌 2020, Vol.56(2), pp.358-362
Hauptverfasser: 永田, 幸, 野々下, 晃子, 吉田, 敦, 三浦, 清徳
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:後屈妊娠子宮嵌頓症は,子宮底が後屈したまま妊娠子宮が発育し,骨盤腔に嵌頓した状態のことである.時には妊娠末期まで持続することが報告されている.後屈妊娠子宮嵌頓症は極めて稀であるが,妊娠中に診断されないまま分娩を迎えると様々な合併症を引き起こす.そのため,早期診断が肝要である.今回,子宮底の筋腫による後屈妊娠子宮嵌頓症の1例を経験したので報告する.患者は37歳,初産婦.10cm大の子宮筋腫合併妊娠のためハイリスク妊娠と判断され当院に紹介された.初診時,ダグラス窩に硬い腫瘤を触知し,腟鏡診で子宮口が確認できなかった.子宮口が確認できないことで子宮筋腫による子宮の位置異常を疑った.妊娠20週で骨盤MRI検査を施行し,子宮底の筋腫による後屈妊娠子宮嵌頓症,前置胎盤と診断することができた.子宮口が確認できないという異常所見が子宮の位置異常を疑う契機となるために非常に重要である.本症例は早期に診断することで自己血貯血などの準備や子宮切開層の確認などの十分な術前準備をすることができ,妊娠36週で選択的帝王切開術を施行した.術中に超音波検査を併用し,安全に帝王切開術を施行できた.
ISSN:1348-964X
2435-4996
DOI:10.34456/jjspnm.56.2_358